lovin' rabbit | ナノ
 


 17



「3日ぁ!?」
「うるせーな」
「ちょっ阿伏兎さんっ…!どーゆーことですか3日って!」
「そのまんまの意味だよ。つーかお前が聞いてきたんだろ、どのくらい寝てたのかって」
「寝てたんじゃありません気を失ってたんです!」
「同じだ同じ」


全然違います!そう言ったのに、阿伏兎さんはわたしの言葉を適当に流し歩いていってしまった。…どんだけ興味ないんだ…!仮にも仲間であるはずのわたしなのに!しかも初任務成功させたのにその辺なんにも言ってくれない…ぐす。もしかしたら第七師団にとっちゃあ3日間気を失うことも任務を成功させることも当たり前なのかもしれない。


でも、それでも神威さんはよく頑張ったねって言ってくれましたよ!


「あ、」
「神威さん!」


噂をすればなんとやら、前方の廊下の壁からひょっこり出てきた神威さん。


「さくらじゃないか。久しぶり」
「今朝会いましたよ」
「そうだっけ?忘れたよ。それより阿伏兎見なかった?」
「阿伏兎さんならさっき一緒に喋ってましたよ。あっち行きました」
「ありがとう」


そのまま横を通り過ぎようとした神威さんの腕を掴み、引きとめる。聞きたいことがあったのを思い出したからだ。見ると神威さんは少し驚いたようで、目を丸くしていた。


「なに?」
「神威さん、あの時」
「あの時?」
「わたしが昨日目を覚ました時です」
「ああ」
「シャワー、浴びてなかったでしょ」
「?」
「神威さんから血の臭いがしたんです。…それって、わたしが目を覚ますまで近くにいてくれてたんですか?」
「……」


確かに神威さんが近づいた時、血の臭いがしたのを覚えてる。そして今朝なんとなく考えてて気づいたんです。それって任務が終わってから、シャワーも浴びずにあの部屋で、ずっと近くにいたってことじゃないの?…わたしの、自意識過剰?


「さあ、どうだろうね」


ごまかすように言う神威さん。その真意は掴めない。


「…気になっちゃうんですが」
「ならなくていいよ。じゃ、俺阿伏兎のとこ行くから」
「……」
「そんなぶさいくな顔しないの」
「ぶ、ぶさいくって言わないでくださいよっ」
「はいはい」


ポンポンと頭を叩いた神威さんは、背を向けて去っていった。


「(当たってると思ったんだけどなー…違うならしょーがないか)」


……ん?そういえば、目が覚めたときわたし任務の服じゃなかった…。着替えた覚えないんだけど…?え、あれ、……あれェェェ!?


「かっ神威さんんんん!!」


もし、だ。もしかしての話、そう、あくまで仮定。
もしあの場で気を失ったわたしを春雨の船まで連れ帰ってくれたのが、神威さんで。
もしそのまま目を覚まさないわたしのそばにずっと彼がいたならば。


わたしの服を着替えさせたのは…


「神威さん!」
「なに、まだ何かあるの?」
「わ、わたしの、服…!」
「?」
「わたしの服って……だれが…?」
「…ああ」


な…何そのああって…!わたしの嫌な予感、当たっちゃったの…!?


神威さんがにやりと笑ったのを、確かに見逃さなかった。


「さくらは綺麗なお腹してるネ。俺、好きだよ」
「っ…!!」


(やっぱり神威さんが脱がせたんですかー!?)(だってさくら血生臭かったもん)(だからって…!!(恥ずかしいよ!))


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