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こたつむりな休日

年も開けて、学校も始まった初の土日。私とハルちゃんは私の家の炬燵にくるまっていた。

こたつむりになってしまう、と思いつつも、この寒さに暖が負けるはずもなく家に来るなり二人揃って潜ったのだ。
最初は向かい合って座っていたのだけど、突然ハルちゃんが立ち上がって私の元へ来ると、私を足の間に挟み、後ろから抱きついてきた。そしてそのまま二人まとめて炬燵に入る。
イチャイチャできて幸せなのが半分、物理的に暑いのが半分、かな。

「ハルちゃんー、あついよー」
「俺は寒い」
「炬燵に潜ってるのに?こんなにあったかいのに?」
「俺の足あったまらない」
「どれどれ、あ。ほんとだ冷たい!えぇーっと、一応強のところにしてあるけど…大丈夫?風邪引いてない?」
「引いてない」
「ならいいや。私の足であったまれそうなら暖取っていいよ」
「でも、名前が冷える…」
「すぐあったまるから大丈夫だよ。じゃあ失礼します」

許可も取らずに靴下を脱いでハルちゃんの素足に自分の素足を当てる。

「うん、冷たい。っていうかここだといい温度だね」
「……」

ハルちゃんの足から冷を取っていく。
部屋の小型テレビから流れる音をBGMに机の上に置いておいたファッション雑誌を手に取った。
今年初売り行けなかったから、もうすぐ始まるであろう冬物セールに向けて雑誌を物色していく。
春物まではまだまだ時間がある。

「ハルちゃん、私にはどれが似合うかな」
「名前なら何でも似合う」
「うーん、ありがとう?でもそんな事言わないでさ、今度のデートで可愛いの着たいから」

来週の土曜に電車でハルちゃんがよく行くスポーツショップに行く事になっている。
季節上、部活で水には浸かれないから買ったら早速お風呂で履くんだろうな。
ちなみに買い物が終わったら私が行きたい所に連れて行ってくれるんだとか。私の過去の発言からして、きっと新しく出来たスイーツショップだと思う。

「ハルちゃん?」
「………」

耳元でスヤスヤと規則正しい寝息が聞こえる。何時の間にか寝てしまったようだ。

これじゃ動けないじゃない…

苦笑いしつつもそのままにしておく辺り、私もだいぶ扱いに慣れて来たんだと感じた。

でも扱いに慣れても耳元で吐息がかかるのは、慣れない。
流石にこれには参って雑誌を閉じ、起こさないように立ち上がろうと試みる。

「えっ……」

がっちり、ガードされました。
ハルちゃんの馬鹿!
どきどきと心拍数があがって顔が熱くなる。

結局この後1時間、ハルちゃんの吐息に耐えながら、全く頭に入らないテレビを見て過ごした。

こたつむりな休日

(温もりの発信源は)

ごめんなさいこたつむりって言いたかっただけ



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