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主導権は握らせない

ラジオネタ

渚くんとの帰り道、ずっと今日の会話が頭から離れなかった。
「好きな人に、押し倒されるんじゃなくて
逆に押し倒したいよね」

確かにそうだと思った。
押し倒されるのは毎度私たち女子なわけだし(一部例外もあり?)
たまにはしてみたい…

結果、その会話をしていた面子は今日、彼氏に実行すること!となった。

つまり。私も実行せよということ。

どうしようやってみたいけど…!!

「名前ちゃん?」
「ほえ?!」
「はははっ!ほえって何それ!可愛いー!」
「う、」

何かもうダメな気がする。実行できない。

「何が??」
「え!?」
「何が実行できないの?」
「な、なんで分かって…!」
「呟いてたよ」

ダメだ、いやよかったのか???とりあえず実行できそう??うん、なんかむしろ言わざるを得ない感じになってる。

口を開こうかと思ったら渚くんの家に着いてしまった。

渚くん曰く、今日は放課後お家デートなのだ。ナイスタイミングとか思ったり思わなかったり。

中で聞くから入ってと言われお邪魔する。2人揃って渚くんの部屋に直行した。

「で、何を実行するつもりだったの?」
「…渚くん」
「な、なぁにー?」
「押し倒させてください」
「うん、いいよー」

ドーン!と波に打たれたような感じがした。軽い、こんなにあっさり許可を下すなんて…!!

ニコニコしてる渚くんに一言失礼しますと告げて押し倒す。

わ、わ、!
いつも天井と渚くんが見えるのに、今日は床と渚くんが…!!私は謎の感動を覚えた。くぅ、と喜びに満ちていると満足した?と終始笑顔の渚くんに聞かれる。

ええ、とてもとても満足しましたとも。

頷いて退こうと体を起こそうとした、ら退けなかった。渚くんの足が私の腰をがっちり捉えている。

声を出す暇もなくキスをされ、離されたときには形成逆転していた。毎度同じの天井が見えた。

「え、と。私そんなつもりはないのですけど…」
「押し倒していい?の時点で僕は積極的だなぁって感心したんだけどなぁ。てことで」
「待って待って!!無理無理無理!!」
「僕こそ無理、やられてばっかじゃ嫌だもん」

主導権は握らせない

(僕には誘われたようにしか見えなかったよ)



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