short | ナノ


プレゼントは…

水泳部のマネージャーを始めてようやく…というのか
なんというか。まぁ2週間は経った。

仕事にはなんとか江ちゃんの話と行動を見て自分でこなせるようにはなったし、
ずっと見る度に顔を真っ赤にしてきた部員の引き締まった体も、なんとか見れるようにはなった。
(江ちゃんみたいなのじゃないし、ガン見ってほどでもないけど)

部員のみんなは人付き合い?というのだろうか。そういうのがいい人ばかりで、入部したての私に明るく話しかけてくれて、江ちゃんのように馴染むことができた。

遙先輩は、変わらず大人しい人だけど挨拶をすればちゃんと返してくれるし、話しかければ答えてくれるから嫌われたり、とかそんなことは一切ないと思う。思いたい。

一番仲がいいのはやっぱり同学年だからか、江ちゃんと葉月くんで葉月くんはスキンシップが過激な部分を除けばもうとっても可愛らしい無邪気で純粋そうな子。

そして密かに気になってる子。
多分、男の子として。

そんな彼の様子は、朝からおかしかった。

「あ、葉月くんおはよー!」
「お、おはよー名前ちゃん。あ、あのね、今日って…」
「今日?あっ、そういえば今日の練習ってリレーっぽいのやるんだよね?私今まで個人個人のしか見たことなかったから凄く楽しみなんだぁ」
「う、そうだね。僕も楽しみだよ」
「…?」

「葉月くん?」
「な、何ー?」
「何かあった?お箸進んでないよ?」
「あー、それはね名前ちゃ」
「まこちゃぁああん!!!!ストップ!!!」
「ふっ、大丈夫だよ渚。でも早く言わないとまずいかもね」
「(一体何の話をしてるんだろ)?」

「名前ちゃん!」
「はいー?」
「〜〜っ。やっぱり後で!!帰りに!!」
「えっ?あ、うん」

どうだ意味が分からないだろう。何か言いたいんだろうなぁってのは分かるんだけど私にはさっぱりで…
なんだろう、下着が見えちゃってるとかなのかな?でもそれは確認してみたけどスカートの長さも問題ないしシャツのボタンも全部止めてあるから大丈夫だと思ったんだけど。
授業中もやたらと視線を感じたし、ほんとに何?

部活が始まって、江ちゃんと2人並んでタイムを測るためにストップウォッチを握って構えていた。
まだタイムを測りそうな気配がないためどちらがジャストタイムで止めれるかの勝負中。ちなみに今のところ私が連勝。3回とも5秒00で止めてしまった。

「名前ちゃん強いよー」
「江ちゃん数えるのが遅いんじゃない?」

他愛もない女の子同士の会話。
(でも多分こんな会話は一般的にあまりないはずだよね)

「そういえば聞いた?_____」
「え、」

そのあとの会話は、やけに耳に響いて。心に浮かんだパーツがぴったり当てはまって物語が完成した気分だった。


これからなんとなく言われるかもしれないことを予想しながら葉月くんの更衣を待つ。
まだ時間はありそうだから、自分の鞄を探って学校や更衣室に忘れ物がないか確認。

終わったところでぴったし葉月くんがやってきた。なんとタイミングのいい…

「ごめんね、待ったかな?」
「大丈夫、暇はしてないよ」

歩きながら話すのかと思って足を一歩踏み出すと待って、と葉月くんから静止の声がかかる。

はてなマークを内心思い描きながら葉月くんと向かい合うとすぐに彼から言葉が発せられた。

「突然だけど。今日は何の日だと思う?」

どうしよう、これは言ったほうがいいのか…実はさっき江ちゃんから聞いた話は今日は葉月くんのお誕生日だということ。これがお昼前とかだったらよかったんだけどなんとも微妙な時間に聞いてしまった。でも何故か勇気を出して聞いてくれてる?みたいだし

「さっき江ちゃんから聞いたんだけど、葉月くんお誕生日なんだよね?」
「そう、なんだぁ。僕誕生日なんだけど…」
「ごめんね、知らなかったから何も用意してないや…えっと、まず言葉だけ…お誕生日おめでとう!」
「ありがとう!でね、本題なんだけど」

そこで一息切るとぐいっと一歩近づいて来る。突然近づいた距離に不覚にも胸が高鳴った。

「プレゼント、欲しいなぁ」
「へっ?あ、何がいい?私のお小遣いの範囲なら、喜んで…」
「名前ちゃん」
「なに?」
「違う、名前ちゃんを僕にプレゼント。してくれない?」

こてんと首を傾げた彼に、喜んでと無意識に首を振るまで、あと…


(プレゼントは君がいい)

渚くんお誕生日おめでとうございまー!!
ずびばぜん遅れちゃいました。てへっ。可愛く言っても許されないのはわかっている。ハルちゃんは誕生日終わったあとに知ったので祝えませんでしたが渚くんは2週間ほど前からスタンばってました(早すぎワロタ)祝えてよかったですー。16歳になったのかな?本当におめでとう。これからも大好きだよー!



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