「名前ちゃん名前ちゃん。何色が好き?」
「色?青かな」
「アクセサリーとかは?」
「ごちゃごちゃしない程度なら」
「キーホルダーとかは?鞄とか携帯に…いや、これはなし!好きな動物は?」
「渚と一緒でペンギン」
「なるほど…ありがとう!」

趣向のよく分からない質問攻めに襲撃された。
あの子なにがしたかったのかしら?
結局考えても質問内容からは何も分からず、これは私の中で迷宮入りした。

でも、質問の意味が分かったのは意外とすぐの事で。


2日後。


いつも通りに学校に登校して、授業を受けて、お昼を食べて、授業を受けて…
ようやく帰れる!と、帰ろうとしたとき、鞄に入れてあった携帯がブルブルと震える。
震えた原因は、渚からのメールだった。

<一緒に帰ろう!部活終わるまで待ってて!!>

渚から帰りを誘われることはこれまでになかったから、何かあるのかな?と首を傾げる。
とりあえず分かったとメールを返し、部活終了時刻まで本を読んで時間を潰し、水泳部の部室まで向かった。
タイミングのいい事に部室から出てきたところで、私に気づいた渚は目を瞬かせる。

何でここにいるの?と言いたげな表情に「待ち合わせ場所、メールに書いてかなったから」と、声を掛けた。

「そうだった。ごめんね?」
「大丈夫。じゃあ帰ろうか」
「うん!じゃあね、ハルちゃん、まこちゃん、怜ちゃん!」

帰路を進んで渚の話に相槌を打ち、だんたんと家に近づく。未だ話されない本題は一体なんなのか。
痺れを切らした私は、問いかけた。

「何か用事でもあった?」
「うん。渡したいものがあって。これ、受け取って!」

突き出されたのは、ラッピングされた紙袋。
紙袋の開け口付近にハッピーバースディと印刷されたシール。
ハッピーバースディ?

「渚。私まだ誕生日じゃないけど?」

私の誕生日は明後日だ。2日も早い。

「本当は当日に渡したかったんだけど、その日大会なんだぁ。だから今日渡しちゃおうと思って。ほら、中身見ちゃって!」

授業後で更に部活までやってそれでもなお元気な渚に少々苦笑いを浮かべながら、ぴりぴりとシールを外す。

「う、わぁ…!」

思わず感嘆の声を漏らす。
中身は私好みのペンダントで。
透き通る青色のペンギンが控えめにぶら下がっていた。

「どう?気に入ってくれた?」
「うん!凄いドストライクだよ!」
「手作りです。最近流行りのレジンで作ってみました、えっへん!」
「手作り!?これが女子力…恐るべし…」
「でもお姉ちゃんに手伝ってもらったよ?でも、何はともあれ!」

気に入ってもらえてうれしいです

( 来年も、再来年も、楽しみにしててね! )