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16-03

「実は、まだある…けど…」
「私には話せないこと?」
「ううん。そんなことないけど…」
「けど?」
「空には分からないかもしれない。」

そういうと空は少しだけ傷ついた顔をしたけれど、すぐに元に戻った。

「…ヤマトくんがね、言ってたの。純は昔の俺に似てるところがあるって。」
「ヤマトが?」
「うん。太一のことももちろんだけど、純は嫉妬とか罵声を恐れてるんじゃないかって。…その顔してるってことは図星?」

肯定も否定も出来なかった。
誰にも分かってもらえないと思っていた気持ちがまさかヤマトにバレているとは思わなくて、体が動かなかった。

「ヤマトくん、言ってたわ。純はああ見えて打たれ弱いんだって。言葉の暴力を気にしてないフリをしても、本当は心の何処かで傷ついてる、って…」
「…怖いんだ。知らない人にまでそんなこと思われてるのが。今でもマネージャーだからって結構言われてるみたいだし…」
「そんなの…」
「気にしないなんて私にはできない。太一と付き合ったら、もっと言われるのが目に見えてる。ある事ない事言われて嫌われるのが怖い…私は太一や空みたいに強くないの…」

言ってしまった、と思った。
空はなにも悪くないのに、空に八つ当たりしてしまったのだ。

その時、後方からガラガラと扉の開く音がした。
この状況でここに来れる人なんて、二人しかいない。
私は振り返れなかった。

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