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11-01

ホントはカバンの中に折り畳み傘もあった。
でも、その存在を隠したのは…

「はぁー。つっかれたー。」
「お疲れー。新キャプテンさんはいろいろ大変だねー。」
「マネージャーも変わんねぇだろ?」

この時期には珍しい雨。
台風がきているわけではないが、風も強いのか部室の窓がカタカタと鳴っていた。

「部誌も書き終わったし、帰ろー。雨、強まってきたし…」
「そうだな。…あ、俺さー、朝学校来る時に傘壊しちまったんだよなー。傘入れてくんね?」
「いいけど、濡れても知らないからねー。」

本当は随分前に母さんに渡された折り畳み傘がカバンの中で今か今かと出番を待っているけど、今日も出番はなくなった。
純の手から傘を受け取り、帰路に着く。

「なぁ、純。」
「なに?」
「これってさー、相合傘だよな。」

少しだけでも意識してくれれば。
そんなつもりで言っただけだった。

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