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10-02

「なぁ、純。」
「なに?」
「これってさー、相合傘だよな。」

太一が至極真面目な顔でなにを言い出すかと思えば…
少しだけ呆れながらも、身体中の体温があがっていくのが分かる。
太一の傘が壊れているから、という止むを得ない理由はあるにしても、相合傘という表現には少し照れてしまう。

「そ、そう、だね…」
「…あ、あのさ…純。」
「ん?」
「俺、純のことが好きだ。俺と付き合って欲しい。」

その言葉を聞いて、足を止める。
というか、体が動かし方を忘れてしまったかのように動かない。
太一が私を、好き…?

「わ、私も…」

太一のことが好き。
そう続けようと思った時、ふとある言葉が浮かんだ。

「ご、ごめんっ…!!」
「お、おいっ…!」

私は太一の静止も聞かず、雨の中、ずぶ濡れになりながら、家まで走って帰った。

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