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09-02

「純って、ほんと分かりやすいわよねー。」
「やっぱり、そう思う?!バレたら、どーしよー!」
「あの鈍感な太一がそう簡単に気付くはずないわよ。」

教室で空とお弁当を食べながら、恋愛相談。

「仮にだよ。もし、私が太一と付き合ってさ、別れたりしたら、部活も気まずくなるし、大変そうだよね。」
「そうねぇ。」
「男バスのマネの先輩でさ、選手と付き合って、別れた人がいたらしいの。やっぱ、気まずくなっちゃったらしいんだよねぇ。」

この感情に気付いてからはもう毎日が天国と地獄だった。
幼馴染として近くにいれるという喜び。
しかし、関係を壊すのが怖くて、幼馴染としての一線は越えられないという苦痛。

「で、気まずくなってどうなったのよ。」
「マネージャーが部活やめたんだって。それ聞いたら、このままでいる方が幸せなのかなーなんて思ってしまったわけですよ。」
「…サッカー部キャプテンとマネージャーが恋人だなんて少女漫画そのものだし、私は憧れるけどね。」
「まぁ、そうかもしれないけど…」

三年生の先輩たちが引退して、太一が新キャプテンに任命された。
確かに、キャプテンとマネージャーが恋人同士っていうのは理想ではあるけど。

幼馴染という関係を壊して、気まずくなるのならば、このままの関係をこれからも築いていけばいい。
そうすれば、そのうちこの恋心も消えていくだろうから。
臆病な私は今ある幸せを失うことが怖かった。

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テーマ「人外ファンタジー」
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