07-02
「佐藤先輩!」
部室に着いた時、突然、彼女に詰め寄られた。
顔だけじゃなくて、声からも分かるくらい怒っているんだと思う。
なんとなく、理由は想像つくような気もするけれど。
「な、なに…?」
「佐藤先輩、酷いですっ!昨日、テニス部に行ったの、わざとですよね?!私がなにも出来ないの知ってて…」
「…」
予想通りの展開に、思わず黙り込むしかなかった。
確かに、空の作戦通りといえば、作戦通りにいったわけだから、この子の言ってることは間違いではないんだけど。
「私にマネージャー業を教えてくれなかったのもそのためですか?私、先輩のせいでみんなに迷惑かけちゃったんですから!」
私の予想通り、昨日、マネージャーとして全然機能できなかったことは全て私の責任にしてしまおう。
そういうことらしい。
…可愛い子って怖い。
「私、なにをすればいいか、教えてたつもりなんだけど…」
「私の物覚えが悪いっていうんですか?」
「そういうわけじゃ…」
「私だって、一生懸命やってきたんです!」
さっきまで怒っていたかと思うと、急に目に涙を浮かべ始めた。
あぁ、もうめんどくさい。
もうどうにでもなってしまえ。
「あのねぇ…」
「お前ふざけてんの?」
私以上に怒りをあらわにしたその言葉を言い放ったのは、私ではなく。
意外にも私の隣に立つ、太一だった。