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先生の目の前で

「またお前らか…」

俺らの数学担当兼担任の呆れた声から、この補習は始まった。
そもそもの原因は目の前にいる担任が小テストという名目の抜き打ちテストを行ったことだ。
10点満点中8問以上でクリアとなり、クリアできなかった者はクリアするまで放課後に残らなければならないのだ。
過去に数回やられているけど、同じ問題をやるだけなので、普通はすぐにクリアできる。
だけど、それさえもできない純と俺。
それを見兼ねた担任がこうして補習を申し出てくれたのだ。
いい迷惑だ。

「ここはこれを当てはめて…」

黒板の内容をノートに書き写していく。
隣の席に座る純は書き写しながらも、既にワケがわからなくなっているようで頭をひねっていた。
ぶっちゃけてしまえば、俺は数学得意だし、小テストも楽々クリアできるくらいには理解している。
それなのに、わざと悪い点を取っているのは、純と一緒にいるためだったりするわけで。
俺って意外と健気だろ。

「なぁ、どこがわかんねぇの?」

担任が黒板に向かっている間にこっそりと純に声を掛ければ。

「この辺りから既にわかんない。」

純の差した先は序盤の問題。
つまり、基礎の基礎の問題で。
使う公式と解き方を教えてやれば。

「あ、解けた!太一ありがとー!」
「どーいたしまして。お礼はこれで。」

そのまま、教えたお礼にと唇を奪った。
純は目をパチクリさせて、なにか言いたそうだったけれど、恋人なんだし、それくらい問題ないっしょ?

「お前ら、なにしてんだー!」

すっかり存在を忘れていた担任に数学の補習だけでなく、不純異性交遊について延々と語られるのだった。
ほんっといい迷惑だ!


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