その時、聞きなれない声が聞こえた。
「ピッドボム!」
その声が聞こえてきた直後、目の前に迫って来ていたはずのクワガーモンの姿はなかった。
「な、なにが起きたの…?」
「ピッピッピッ!」
目の前をピンクの丸いなにかが通り過ぎ、子どもたちも太一たちの元に集まっていた。
そのなにかはしばらく進んだ先で立ち止まり、振り返った途端、
「この!未熟者!」
と叫んだ。
なにかはピッコロモンというデジモンで、クワガーモンを倒したのもこのピッコロモンだったようだ。
ミミはピッコロモンの可愛さに我慢できず、抱き上げた。
「キミたち、選ばれし子どもたちだッピ?危なっかしくて見てられないッピ!そんなんじゃせっかく紋章をタグを手に入れても宝の持ち腐れだッピ!」
次々と耳に痛いことばかりを言うピッコロモンに子どもたちが苛立ち始めていた。
「デジモンたちもデジモンたちだッピ!キミたちみんなたるんでるッピ!努力が足りないッピ!根性がないッピ!」
「うるさいヤツだな…」
「私、努力ってきらーい…」
子どもたちもパートナーも口々に不満をしたとき、
「よってキミたちみんな、今日から私の下で修業するッピ!」
ととんでもないことを言いだした。
「特にそこのキミたち!キミたちは重傷だッピ!スペシャルメニューで猛特訓だッピ!」
「…猛特訓?」
「スペシャルメニュー?」
「キミの紋章はこれから特に重要になってくるッピ!こんなところで躓いてる場合じゃないッピ!」
自分の紋章が重要、と言われても純にピン!とくるはずもなく、太一と目を合わせて首をかしげた。
すると、ピッコロモンについてくるように指示をされた。
子どもたちはついていくべきか相談し、結果、ピッコロモンについていくことにした。
しばらく進むと、ピッコロモンは呪文を唱え始めた。
「ルフォルパ・ラフォルポ・ショニカッピ!トルカラ・トルカル・シタカッピ!」
すると、目の前に景色の違う世界が現れた。
「な、何、これ?!」
「驚くことはないッピ!私の結界の中だッピ!さぁ、ついて来るッピ!」
子どもたちが結界の中に入っていくとそこにはジャングルが広がっていた。
ふと後ろを見ると、エテモンのトレーラーが目に入った。
「あれ…エテモンのトレーラー?!」
「心配することないッピ!向こうから結界の中が見えることはないッピ!」
ピッコロモンの言うとおり、中が見えていないらしく、エテモンが結界の元へ向かってくることはなかった。
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bkm