夏色ドロップス | ナノ

act.01

砂漠の中を歩き続けてどれくらい経つだろう。
いくら歩き続けても暑さは変わらず、太陽からの直射日光が子どもたちの体力を奪い続けていた。

「ロップモーン。大丈夫ー?」
「モーマンターイ…」

ロップモンは純の頭の上で帽子代わりを努めていたが、声に元気はなく、すでに体力の限界に近づいているようだった。

「私の頭の上だと熱いでしょー?抱っこしてあげるから、降りておいでー?」
「やだー。純の帽子なのー。」
「ロップモン!今度は僕が変わるよー。」

ロップモンの姿を見ていたテリアモンは純の腕から抜け、頭へと登る。
そして、ロップモンのいた場所を陣取り、ロップモンは純の腕の中へと収まった。

「二人とも、ありがとう。」
「「モーマンターイ」」

純がロップモンたちの心遣いに感激している横で、太一はコロモンの体力の心配をしていた。
パートナーはスカルグレイモンに進化したことにより、体力の少ないコロモンへと戻っている。
そのことで太一は責任を感じていた。

「私が巨大なサボテンになって、みんなに日陰を作ってあげたい…」

パルモンがそう呟くと、突然目の前に大きなサボテンが姿を現した。
子どもたちは日陰を求めて、一目散にサボテンの元まで走るが、サボテンには影がなく、蜃気楼であることが分かり、落胆した。
その直後、ファイル島で見たゲンナイが再び姿を現した。

「おい、ジジイ!お前の言った通り、タグと紋章を手に入れて、敵と戦ったけど、ちゃんと進化しなかったじゃないか!それどころかアグモンはかわいそうにコロモンに退化しちゃったんだ!」
「私、紋章なんて欲しくない!」

子どもたちは矢継ぎ早にゲンナイへの不満を口にした。

「落ち着け…選ばれし子どもたち。望むと望まないに関わらず、いずれ紋章はお前たちのものとなる。タグと紋章はお互いに惹かれあう性質を持っておるのじゃ。」
「えー…」
「アグモンがコロモンに退化したワケを話そう。たとえ、タグと紋章を手に入れても、正しい育て方をしないと…」
「正しい育て方…?」
「そう。正しい育て方をしないと、正しい進化はしない。」
「正しい進化ってなんだよ。」
「選ばれし子どもたちよ…正しい育て方を考えるのじゃ…」

ゲンナイがそこまで言うと、突然ノイズが入り、ゲンナイの姿が見えずらくなっていた。

「待って!私、ずっと聞きたかったことがあるの!なんで…なんで私はパートナーが二匹なの?」
「それはお主の紋章の…」

そこまで言うと、ゲンナイの姿は完全になくなってしまった。

「紋章のなんなんだろう…」
「それより、正しい育て方…って」

子どもたちが正しい育て方を考えていると、目の前に豪華客船が現れた。
先ほどのサボテン同様、蜃気楼かと思ったが、影があるところを見ると、どうやらそうではないらしい。
船上からはヌメモンが顔を出しており、ミミが船で休ませてくれるよう頼むと快く承諾して、船へと上がることになった。


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