「オーホッホッホッホッ。アチキってグレート!」
子どもたちはエテモンの姿を確認すると、一目散にサッカーゴールの方へと走り出した。
「みんな、待ってぇー!」
「アグモンもロッテリアも急いで!」
「…ゴール!捕まえた、捕まえた!」
食べすぎで動きが鈍い三匹とその三匹にスピードを合わせていた純以外の子どもたちがサッカーゴールの中に閉じ込められてしまった。
テントモンがゴールネットに触れると、ゴールネットには高圧電流が流れた。
「あーら、そんなことすると怪我するわよ。何故ってそのネットには高圧電流が流れてるんだから!本当はアチキが直接お相手してあげたいとこだけど、あいにく今遠いところにいるの。ほら、スターって忙しい商売だから!」
子どもたちは半ば呆れながら、オーロラビジョンを見つめ続けた。
「でも、心配しないでね!代わりにスペシャルゲストに登場してもらうから!きっと驚くわよ!」
突然、観客席が崩れ、グレイモンが現れた。
「グ、グレイモン?!」
「驚いてくれたようね。うう…なんて心憎いアチシの演出…」
「そんな…!ロッテリアたちは戦える状況じゃないのに…!」
「さっ、始めるわよ。イッツショータイム!」
「アグモン、進化だ!」
「無茶だよ、太一っ!」
純の叫びも虚しく、太一のその掛け声と共にアグモンは光に包まれた。
「アグモン、進化!グレイモン!」
アグモンはグレイモンに進化し、エテモンの手下のグレイモンに立ち向かうが、やはり動きが鈍く、明らかに押されていた。
「純!僕達も進化するよ!」
「だめ!ロッテリアもまだ満足に動ける状態じゃない!」
「純!進化させるんだ!」
純は太一の声を無視し、進化させずにいた。
動きの鈍い二体が加わっても、逆に足を引っ張る。
純はそう判断し、グレイモンたちから距離をとった。
しかし、その間にもグレイモンは攻撃され続けていた。
「どうしたらいいの…?!」
「やめろーっ!!」
なんとかグレイモンを助ける方法はないかと考えていると、太一がグレイモンの元へ走ってきた。
子どもたちの閉じ込められていたサッカーゴールの下に丈の紋章が隠されており、サッカーゴールから脱出していたのだった。
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bkm