吹雪がやんだ。
子どもたちが祠を出ると、そこはサマーキャンプには似合わない一面の銀世界だった。
「一体なにがどうなってんだよ。」
「…さぁ?とりあえず、雪合戦だー!」
「いや、お前、順応力ありすぎるだろ!」
太一の問いかけに答えとは言えない返答をする純。
だって、雪といえば、雪合戦じゃない。
純はそう言いたそうな顔をしていたが、太一は深くつっこまなかった。
「ねー、ところで、あれは何?雲じゃないよね。」
雪だるまを作っていたタケルがふいに空を指差し、みんな同じように空を見上げた。
「あれはねー、オーロラだよ。きれー…」
「でも、日本でオーロラが見られるなんて……」
まさかここ、日本でオーロラが見られるとは信じがたいが、そのオーロラに全員が目を奪われていた。
「何か飛んでくる!」
太一の発言により、子どもたちがその光に気付いた。
全部で八つの光が子どもたちに向かって近付いてきた。
「危なーい!」
その光が目の前まで来たかと思うと、雪が舞い上がった。
その威力はすごく、雪はものすごい高さまで舞い上がり、一瞬、周囲が見えなくなるほどであった。
「びっくりしたー。」
「本当だよねー!でも、ミミちゃん、すごい楽しそうな顔してるー。」
「純さんこそー。」
二人はこの原因不明のアクシデントを楽しんでいるようだった。
「いったいなんだったんでしょうか?…ひゃっ。」
「な、何だー?」
穴の中から光を放つ何かが浮かんで来た。
その何かはそれぞれ子どもたちの手元へ飛び込んだ。
すると、八つの何かがピピピピ…と鳴り始めた。
突然、空一面が眩しく輝き、津波が襲ってきた。
「うわぁあああああ!」
子どもたちはなす術がなく、その津波に飲み込まれる他なかった。
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