夏色ドロップス | ナノ

act.01

紋章を手に入れた子どもたちは砂漠の中を再び歩いていた。
砂漠には隠れる場所や逃げる場所がないため、エテモンが追ってこない場所を探しながら進んでいる。
太一はその先頭に立ち、パートナーに気合いを入れていた。

「今のところ、もう一段階進化できるのはアグモンとロッテリアしかいないんだから、お前たちが先頭に立って頑張ってくれなくちゃ!」
「この色だとテリアモンのタグ…なのかな。」

一人張り切る太一の横には不安げな面持ちで太一を見つめる純の姿があった。
純も紋章を手に入れた一人ではあったが、その表情からは喜びは感じられなかった。
いつも周りの状況を見て行動する太一の姿はなく、ただ一人で突っ走っているように見えたからだ。

過去の経験から、進化するには空腹の状態ではないこととパートナーのピンチが関係していると推測できた。
そのため、太一はアグモン、そしてロップモン、テリアモンに大量の食糧を与えていた。

「うー、もう食えないよぉ…!」
「僕もぉー!」
「お腹パンパンだよぉ…!」
「ダメだ!食えったら食え!いいか?みんなが貴重な食べ物をお前たちにくれたのは、お前たちの進化に期待してるからだ!」

実際にはあげた、というよりとられたという表現の方が正しかったが、子どもたちはそれを口にすることができなかった。
純は自らのパートナーのために太一に与えすぎはよくないと進言したものの、それを聞き入られることはなかった。

「みんな、これ食べて。」
「いいのかい?太一は…」
「内緒で持ってきた。あんなに食べさせられたらかわいそうだもん。」

純が太一の目を盗んで持ってきた食べ物で、なんとか空腹をしのいでいると、丈のタグに反応があった。

「みんな!僕のタグがなにかに反応してる!」
「近くに紋章があるんだ!」
「なに?!ホントか?!」

太一もアグモンたちに食糧を与えるのを止め、単眼鏡を覗きこんだ。
そこから見えたのは大きな建物で、子どもたちはそこへ向かうことになった。
アグモン、ロップモン、テリアモンは体が重くなってしまったためか歩くスピードはとても遅かった。

「ロッテリアもアグモンも大丈夫…?」
「大丈夫じゃないー!」
「純!太一を何とかしてー!」
「進化できる気がしないよぉ!」

アグモンたちはお腹もパンパンに膨らみ、見るからに苦しんでいた。


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