夏色ドロップス | ナノ

act.01

子どもたちの乗ったいかだは海の上でゆらゆら揺られていた。
太一が単眼鏡で辺りを見渡すも、ただ青い海が一面に広がっているだけだった。
慣れないいかだの揺れにミミは船酔いと戦っていた。

「ミミちゃん、大丈夫?」
「…うっぷ。気持ち悪い…」
「これ、舐めて。舐めてたら、少しはよくなると思うから…」

純はドロップを手渡した。
ミミがそのドロップを口に入れると、不思議と酔いが納まった気がした。
うまれたばかりのポヨモンは危機感がないのか、好奇心が旺盛なのかタケルの腕をするりと抜けて、ロップモンとテリアモンの前に来た。

「ポヨー。」
「ポヨモンー、いかだの上は危ないんだぞー?」
「落ちないように気を付けないとー!」

ロップモンたちはそう言うと、ポヨモンを抱き、タケルに渡した。

「ロップモンもテリアモンもありがとう!」

タケルがお礼を口にしたとき、突然、大きな波が上がり、海の中からなにか大きなものが姿を現した。
そのなにかは暴れており、子どもたちが乗ったいかだは何回も大きな波に襲われた。

「これはホエーモンや!いつもは海の底にいるはずやのに!」
「な、なんで今日に限ってここにいるのー!」

ホエーモンは水面上に頭を出したかと思うと、口を大きく開けた。

「やだ!食べないでー!!」
「きゃー!」

子どもたちの叫びも虚しく、ホエーモンはそのままいかだを飲み込んだ。


prev next

bkm
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -