夏色ドロップス | ナノ

act.03

…と意気込んだものの、サーバ大陸へと向かう手段がなく、子どもたちはいかだを作ることになった。

「ベビーフレイム!」
「ブレイジングファイア!」

デジモンたちは次々に木を倒していく。
子どもたちとパートナーだけでは少しずつしか進まないが、これしかサーバ大陸へと向かう手段がないため、気長に作ることになった。

「…純。」

ふいに純の名前が呼ばれた。
純が振り返ると、そこにはアスタモンの姿があった。

「アスタモン!」
「サーバ大陸へ行くと聞いてな。俺も手伝いに来た。」

アスタモン以外にもレオモンやメラモン、ゆきだるモン…
子どもたちと関わったデジモンたちが集まってくれていた。
さすが、強いデジモンたちだけあって、あっという間に立派ないかだを作り上げていた。

「…できたー!」
「バランスもいいみたいですね」

海の上に浮かべても、グラつくことなく、平衡を保てていた。

「こんなんで大丈夫なのか?」
「決めたんだ、行くしかない!」
「お前たちならきっと海を越えられる。」
「ありがとう、レオモン!」
「あ!!」

レオモンたちにお礼を述べたとき、タケルの持っていたデジタマにひびが入った。

「ポヨ…」

中から現れたのはポヨモン。
トコモンへと進化する前のデジモンだった。

「デジタマが孵ったー!かわいいー!」

タケルはポヨモンを抱きしめると、ほおずりをした。
子どもたちとパートナーたちはその姿を見て、安心したような嬉しいような、とにかく幸せな気持ちになった。

「お別れだな…」

子どもたちはいかだに乗り、ファイル島を離れようとしていた。

「アスタモン!これっ!」

純は腕に付けていたリストバンドをアスタモンへと投げた。

「また会いに来るから!進化しても、アスタモンって分かるように目印!グミモンとチョコモンにもよろしくねー!!」
「純…大事にする。ありがとう」

八人の子どもたちは自分の力で生き抜くことを覚え、あるデジモンとは戦い、またあるデジモンとは友情を育んだ。
そのファイル島を後にした。


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