夏色ドロップス | ナノ

act.05

ロップモンたちを引き連れて、建物を隅々まで探索するが、やはり変わったところはない。
そろそろ戻ろうか。
そう言おうとした時、目の前のトイレから太一とアグモンが飛び出して来た。

「太一!アグモン!」
「純!オーガモンだ!逃げろ!」

純は太一に手を引かれ、共に寝室まで走るが、寝室の近くにはレオモンが立っていた。

「おとなしく寝ていればいいものを…」

突然、広間から声がした。
そちらに目を向けると、悪魔のような姿をしたデジモンの姿があった。

「デビモンだ!!」
「デビモン?!」
「最強最悪のデジモン…!」
「夢はもう失われた…」

デビモンがそう呟くと、館や着ていたバスローブが消え、子どもたちの寝ているベッドが宙を舞った。
他の子どもたちも目を覚ましたようで、飛び交うベッドにしがみついていた。

「ど、どうしよう!」
「太一、力が出ないよぉ…あんなに食べたのに…」
「当然だな。食べ物も風呂も、すべて幻だったのだ!!」
「なぜだ?!なぜ俺たちをこんな目に遭わせる?!」
「お前たちが選ばれし子どもたちだからだ…」
「「選ばれし…子どもたち?」」

初めて聞く、選ばれし子どもたちという言葉に太一と純は目を合わせた。

「私にとって邪魔な存在なのだ。黒い歯車でこの世界を覆い尽くそうとしている私にとってはな!!」

デビモンが手を掲げると、ファイル島に地響きが響き渡った。
岩や地面に亀裂が入ったかと思うと、ファイル島は分裂し、ムゲンマウンテンから離れていった。

「ファイル島はすでに黒い歯車で覆い尽くした。つぎは海の向こうの世界すべてだ!」
「海の向こう?」
「この島の他にまだこの世界があるのか?」
「お前たちが見ることはない。ここがお前たちの墓場となるのだからな。」
「きゃぁっ!」

デビモンが言い終わるや否や、レオモンが現れ、純に襲いかかっていった。

「「「「純!」」」」

太一たちはなんとかレオモンを純から離そうとするが、力の差がありすぎて、簡単には引き離せない。


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