ロップモンたちを引き連れて、建物を隅々まで探索するが、やはり変わったところはない。
そろそろ戻ろうか。
そう言おうとした時、目の前のトイレから太一とアグモンが飛び出して来た。
「太一!アグモン!」
「純!オーガモンだ!逃げろ!」
純は太一に手を引かれ、共に寝室まで走るが、寝室の近くにはレオモンが立っていた。
「おとなしく寝ていればいいものを…」
突然、広間から声がした。
そちらに目を向けると、悪魔のような姿をしたデジモンの姿があった。
「デビモンだ!!」
「デビモン?!」
「最強最悪のデジモン…!」
「夢はもう失われた…」
デビモンがそう呟くと、館や着ていたバスローブが消え、子どもたちの寝ているベッドが宙を舞った。
他の子どもたちも目を覚ましたようで、飛び交うベッドにしがみついていた。
「ど、どうしよう!」
「太一、力が出ないよぉ…あんなに食べたのに…」
「当然だな。食べ物も風呂も、すべて幻だったのだ!!」
「なぜだ?!なぜ俺たちをこんな目に遭わせる?!」
「お前たちが選ばれし子どもたちだからだ…」
「「選ばれし…子どもたち?」」
初めて聞く、選ばれし子どもたちという言葉に太一と純は目を合わせた。
「私にとって邪魔な存在なのだ。黒い歯車でこの世界を覆い尽くそうとしている私にとってはな!!」
デビモンが手を掲げると、ファイル島に地響きが響き渡った。
岩や地面に亀裂が入ったかと思うと、ファイル島は分裂し、ムゲンマウンテンから離れていった。
「ファイル島はすでに黒い歯車で覆い尽くした。つぎは海の向こうの世界すべてだ!」
「海の向こう?」
「この島の他にまだこの世界があるのか?」
「お前たちが見ることはない。ここがお前たちの墓場となるのだからな。」
「きゃぁっ!」
デビモンが言い終わるや否や、レオモンが現れ、純に襲いかかっていった。
「「「「純!」」」」
太一たちはなんとかレオモンを純から離そうとするが、力の差がありすぎて、簡単には引き離せない。
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