夏色ドロップス | ナノ

act.03

丈は太一の静止を無視し、そのまま一目散に建物へと走り出した。
太一と純はその建物に違和感を感じており、少し離れた場所に立ち止まっていた。

「こんな建物、上から見た時にあったかな?」
「…私はなかったような気がする。」
「地図になにか書いてないの?」
「お前がさっき燃やしちゃったんだろうが!」

確認しようにも確認する術がなく、太一と純も丈たち続いて、建物へと足を進めた。
中に入ると広間に天使の絵画が飾ってあったりとまるで映画に出てくるような洋館であった。
不審な点がないことを確認すると、建物の入り口にいた子どもたちも中へと入ってきた。

「あ、これは…」
「どうした?ガブモン。」
「食べ物のにおいだ。それもごちそう!こっちだよ!」

ガブモンが先陣を切って走り出した。
子どもたちもその後を追いかけると、ガブモンは大きな扉の前で立ち止まった。
太一が恐る恐る扉を開けると、そこにはたくさんのごちそうが用意されていた。
デジモンたちはごちそうを見つけると、次々とごちそうを口に運んで行った。

「ぼ、僕は食べるぞ!少しくらいラッキーなことがあってもいいじゃないか!」

いつもなら、慎重に物事を進める丈も空腹には敵わないのか、デジモンたちに負けじと食べ始めた。
それを見た他の子どもたちも食べ始めたが、純だけは入り口に立ち止まったままであった。

「純は食べないのー?」
「おーいしーよー?」
「うん。お腹空いてないから、ちょっと探索してくるね。」

もちろん、お腹は空いていたが、上から見た時になかったこの館を不審に思っていたのだった。
食堂から出たものの、ごちそうを見たことと匂いを嗅いだことで空腹感が増した為、今まで開けずにいたドロップを開け、ひとつだけ口に運んだ。

そして、そのまま館中を探索した。
特に怪しいところはなく、むしろ、大きなお風呂があったり、スプリングの効いたベッドがあったり、文句なしの建物であった。


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