子どもたちが寝静まった中、丈だけはなかなか眠れずにいた。
太一とヤマトの喧嘩を止めに入ったはずだったのに、いつの間にか僕もヒートアップしてしまった。
こんなんじゃダメだ。
僕が、みんなのために僕が行かなくては。
丈は立ち上がるとムゲンマウンテンへと足を進めていた。
洞窟の入り口には
“すぐもどる。この場を動かずまっててくれ 丈”
の文字を残して。
「あーぁ。一人でカッコつけちゃって。一人であの山に行くつもりかい?」
「ゴマモン?止めても無駄だぞ!」
「だろうね。」
お互いに喧嘩口調ではあるが、共にムゲンマウンテンへと向かって歩き始めていた。
その後ろに隠れて、純とロップモン、テリアモンがいた。
「純ー、ぼくねむいよぉー…」
「じゃあ、寝てていいよー?」
「純だけを行かせるわけにはいかないでしょー!」
純はロップモンとテリアモンの寝相の悪さで目が覚めた時、たまたま丈が立ち上がる姿が目に入ったのだ。
声をかけて、一緒に行こうかとも思ったが、丈の気持ちを無駄するわけにはいかない、と後を付けて行くことにした。
もちろん、丈の書き置きの横に自分の名前も追加させていた。
丈から少し離れた場所を登っていると黒い歯車が見えた。
そして、その黒い歯車は馬のようなデジモンの体内へと入り込んでいく。
まずい。
そう直感した純は丈の元へと駆け寄った。
「丈先輩!」
「純くん!君、どうしてここに?」
「そんなのは後です!早く逃げましょう!」
近くには黒い歯車によって目の色を変えた、馬型のデジモン、ユニモンが純たちの方へと向かってきていた。
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bkm