夏色ドロップス | ナノ

act.03

「いっただっきまーす!」

子どもたちの目の前に並んでいるのはオムレツ、目玉焼き、ゆでたまご。
卵料理のオンパレード。
久しぶりに食べるまともな料理に子どもたちは自然とテンションがあがった。

「みんなは呑気でいいよな。僕はそういうわけにはいかないんだ。」
「ねぇ、みんなは目玉焼きになにかけて食べる?」

丈のマイナスな発言を隠すように空が話を振った。

「目玉焼きには塩コショウって決まってるじゃないか!」
「マヨネーズ!」
「俺、醤油!」
「あたし、ソースよ。」
「僕はポン酢を少々。」
「私は塩コショウ…と醤油!」

丈に続いて、ヤマト、太一、空、光子郎、純が続いた。
純の発言に丈の目が輝いたが、すぐ落胆した。

「みんな変よぉ!やっぱり目玉焼きといえば、お砂糖よね!あたし、その上に納豆乗っけたのも大好き!」
「み、ミミちゃん、それはおかしい気がするよ?」
「みんなは目玉焼きにそんな変なものかけるのか?ショックだぁ!日本文化の崩壊だぁ!」

丈はミミの特殊とも言える食べ方だけではなく、他の子どもたちの食べ方にまでショックを受けていた。
そんな丈を見て、ゴマモンはちょっかいをかけていた。

「目玉焼きには塩コショウだろ?!ソースでもマヨネーズでもなく、塩とコショウ!」
「丈は融通が効かないなぁ。」
「なんだと?!」
「だって、そうだろ。どうでもいいことで悩むし…」

丈とゴマモンはタイプが真逆なのか、ぶつかることが多かった。
大抵、ヤマトや太一が頃合いを見て、その喧嘩を止めるのだが、今回もヤマトに止められるのだった。

夜になり、今度は太一とヤマトが揉めていた。
いくつかある山の中でも一際高い山、ムゲンマウンテンに登るか登らないか。
登れば、全体を見渡せるだろう。
しかし、ムゲンマウンテンには強いデジモンがいるため、危険が多い。
そのため、これからどうすればいいのかが決まらずにいたのだ。

「で、丈はどう思う?」
「え?あ、あぁ。太一の言ってることは正しいよ。あれに登れば、これからの指針になると思うよ。」
「ほら、見ろ!」
「だけど、ヤマトの言うことももっともだ。みんなを危険にさらしてまであの山に登る意味があるのか…」

丈のどっちつかずの意見に太一とヤマトの喧嘩は更にヒートアップし、最終的に丈までもがその喧嘩に参加していた。

「ストーップ。三人ともいい加減にしてよ。」
「そうだよ。もう遅いんだし、今日は休もう。登るにしても、夜に登るのは危なすぎる。」

空と純に促され、子どもたちは洞窟で眠ることになった。


prev next

bkm
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -