夏色ドロップス | ナノ

act.02

そして、先へ進んでいくと丈が心配していた通りの光景が広がっていた。
辺り一面、銀世界だ。

「ほら見ろ、僕の心配した通りだ。」
「これからどうするの?」
「とりあえず、先に進む!ここでボケッとしてても仕方ないだろ?」

子どもたちが進むか留まるか揉めていた頃、純とロップモン、テリアモンは勝手に先に進んでいた。

「純ー。どーこいくのー?」
「んー、こっちー。匂いのする方ー。」
「なーんかへんな匂いだよー?だいじょーぶー?」
「大丈夫、大丈夫。」

純が進んだ先には温泉があった。
辺りに漂っていた匂いは硫黄の匂いだったのだ。
が、その温泉はブクブクと泡立ち、沸騰していた。

「沸騰、してるよー…寒くないだけ、マシかぁ…」
「うりゃぁー!」
「やったなぁー!しかえしだーぃ!」

ロップモンとテリアモンが純に教えてもらいつつ、雪合戦をしていると、子どもたちの声が聞こえた。
純は勝手に行動したことを怒られたが、この沸騰した温泉を見つけたことで思ったよりは怒られずに済んだ。
温泉に夢中だったため、純は気付かなかったが、近くには冷蔵庫も置いてあり、中を覗くとたくさんのたまごが入っていた。

「今日の夕食はこれで決まりだな!」
「ちょ、ちょっと待ってよ!食べられるかどうかわからないじゃないか!」
「毒味なら私がやるー!」
「食べられるにしても人のものを勝手に食べるなんてドロボーと変わらないじゃないか!」

丈は真面目すぎるところがあるため、簡単にこの状況を受け入れることができなかった。

「事情を話せば、わかってくれるわよ。」
「なにしろ、非常事態ですからね。」

それでも七人+九匹対一人では分が悪く、丈が折れるしかなかった。


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