夏色ドロップス | ナノ

act.04

「ここはおもちゃのまちー。」
「おもちゃがいーっぱいあるんだよー。」

キョロキョロと辺りを見渡すと、こちらに近寄って来る人影が見えた。

「あれって…ヤマト?無事だったんだ。ヤーマートー!」
「超超超楽しい…」

安心したのも束の間。
ヤマトは電車のおもちゃに追いかけられ、純をスルーして、どこかへ走り去ってしまった。
他にも空、光子郎、丈、タケル、そして太一もヤマト同様、おもちゃに追いかけられていた。

「楽しいな、楽しいな…」
「愉快だな、愉快だな…」

言葉だけ聞くと、楽しく遊んでいるようだったが、表情は全然楽しそうではなかった。
突然、ドーン!という爆発音が聞こえ、煙があがった。

「純、あっち!」
「わかった。」

純は急いで音がした方へと足を進めた。

「パルモン、進化!トゲモン!」

辿り着くと、そこにはサボテンのような姿をしたデジモンとミミの姿があった。

「ミミちゃん!」
「純さん!パルモンが進化したの!そういえば、純さんは大丈夫なんですか?」
「大丈夫、って?」

ミミの話によると、子どもたちは感情を奪われ、おもちゃのおもちゃにされてしまっていたのだ。
純とミミが話している間にトゲモンともんざえモンはまるでボクサーかのようにお互いを殴り合う。
もんざえモンが怯んだ隙にトゲモンは必殺技を放った。

「ちくちくバンバン!」

トゲモンの体から無数の棘が放たれ、もんざえモンに突き刺さった。
もんざえモンの背中のチャックが開き、中から黒い歯車が現れ、粉々になって散った。
もんざえモンは元のいいデジモンに戻ると、おもちゃ箱に閉じ込められていたデジモンたちも解放した。

「おもちゃの街の町長のワシはおもちゃの地位向上を目指していた。おもちゃが遊ばれてはいけない。おもちゃが遊ばなくちゃいけない、と。」
「それで、俺たちがおもちゃに遊ばれてたんだ。」
「すみません。思い上がっていたんです。パルモン、ワシの思い上がった心を正気に戻してくれてありがとう。お礼にハッピーにしてあげましょう。」

「これがホントの…ラブリーアタック!」

もんざえモンが両手を広げると、ピンクのハート型のシャボン玉のようなものが出てきた。
子どもたちがその中に入り込むと、ハートが更に浮かび始め、ふわふわとした幸せな気分になる。

「太一。さっきは助けてくれて、ありがと。」
「おぅ!」

子どもたちは暗くなるまで、おもちゃの街で遊び尽くしたのだった。


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