子どもたちはアンドロモンに教えられた下水道をしりとりしながら、歩いていた。
しかし、いつもと違い、太一から離れた場所に純はいた。
頬をビンタされたことをまだ許せずにいるのだろう。
「きゃー!」
「そ、空!どうしたの?!」
「水が落ちてきたの。」
再び、空の服に水滴が落ちる。
「汚れましたよ。」
「……洗濯したい。」
空の瞳に涙が浮かぶ。
それにより、しりとりは終わり、子どもたちがやりたいことを口にし始めた。
「俺だって風呂に入って、のんびりと…」
「僕は…」
太一に続いて、タケルがゲームのコントローラーを操るフリをする。
「タケル。お前なぁ、こんな時にテレビゲームはないだろー。はっはっはっ……俺もタケルのことは笑えない。今、俺のしたいことはジュージュー焼ける焼き肉、腹いっぱい食いたーい!」
「誰も笑えないさ。僕は勉強。宿題、山ほどやりたい!」
「丈先輩、戻ったら、私の分もやらせてあげますね!」
ヤマトたちは純に冷たい視線を向けたが、本人は気にした様子を見せなかった。
「あたしは冷たいコーラが飲みたーい!」
「ミミさん、それいい!僕も!」
「でしょー?」
「僕はインターネットで友達にメール送りたい!」
純以外の全員がやりたい事を口にした。
自然と子どもたちの視線は純に向く。
「純はなにがしたいの?」
「私?私は…お父さんとお母さんに会いたい…」
子どもたちは俯き、心なしが元気がなくなっていくように見えた。
「みんな疲れてるんだ…」
「かわいそう…」
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bkm