夏色ドロップス | ナノ

act.02

「かわいいー!」

村に着くとたくさんのピョコモンが迎えてくれた。
村はピョコモンの村だったようで、おうちもなにもかもがピョコモンサイズであった。
ここで寝泊まりするのは無理そうだ。
ピョコモンたちといえば、将来の自分の姿であろうピヨモンの前に集まっていた。
また、ピヨモンもそれを見てとても嬉しそうにしていた。

「ピヨモン!どうやって進化したんだ?」
「空と一緒にいたら、いつの間にか進化したのよ!」
「ただ人間といれば進化できるの?」
「それはきっと空を守るため!」

それを聞いて、純はクスッと笑みを零した。

「空、ピヨモン、頼もしいね。」
「ただの甘えん坊なだけよ。何言ってるの…」
「ふふ。でも、ピヨモンが空のことを大好きなの伝わってくるよ。」
「じゃあ、私が危機になったら……まさかね。」
「進化、してくれるんじゃないかなぁ?ま、空が危機になったら、私も守るけどね。」
「私も純が危機になったら、守るわ。」

二人は目を合わせると二人で笑いあった。

「空ぁ!ピョコモンたちがみんなにご馳走してくれるって!」
「本当ーっ?!」
「ひゃっほう!腹一杯食っちゃおうぜ!!」

ピョコモンたちのありがたい申し出に子どもたちのテンションは一気にあがった。
タケルは喉が乾いたのか、噴水を見つけると走って行った。

「この辺りはみんなミハラシ山に水源があるの。」
「とーってもおいしいんだ!」
「ミハラシ山?…あの山?」

キョロキョロと辺りを見渡すと、大きな山があった。
ピョコモンたちが言う、ミハラシ山とはそれであろう。
突然、太一の目の前にあった井戸の中から火柱があがった。

「ど、どういうことだ?」
「あっちに池があるから行ってみよう!」

子どもたちは池まで走って行ったが、池には水がなく、船もその正しい役目を果たしていなかった。
他の井戸も同じで水がなく、時折火柱があがるのだった。

「さっき、ミハラシ山になにか落ちるのを見た!」
「俺たちが見たアレか!」
「黒い歯車、ですね?」
「でも、ミハラシ山に歯車が落ちたからって、どうして…?」
「この辺りはすべてミハラシ山の泉が水源なの。だからミハラシ山に何かあったら、水は全部干上がっちゃう!」
「でも、ミハラシ山にはメラモンがいるの。ミハラシ山はメラモンが守ってくれてるはずなのに…」

太一が単眼鏡でミハラシ山を見ると、山のてっぺんから炎が上がり、炎に包まれた人型のデジモンが滑り降りてきていた。

「何だ、あれ?!」
「メラモンが山からおりて来る!」
「いつものメラモンじゃない!」
「燃えているうぅ!俺は今、燃えているんだぜぇぇっ!」

メラモンは叫びながら、こちらへと向かっていている。
メラモンの様子がおかしいのは一目瞭然だった。


prev next

bkm
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -