夏色ドロップス | ナノ

act.01

子どもたちはあいかわらず、デジタルワールドを歩いていた。
人間の情報も全く入ってこない。
変わったこと、といえば黒い歯車を見かけるようになったことくらいだろうか。
黒い歯車は見た目からいい感じのするものではなく、子どもたちには不安が広がっていた。

「あたしは空がいてくれればそれで安心!」
「そんな100%安心されちゃっても困るんだけどな。」
「100パー?」
「いい、いい…気にしなくて。」
「あたし、空のしゃべってること、いっぱい知りたい!教えて!」
「そんなの知らなくていいよ…」
「空ぁ!」

空がピヨモンとうまくやっていけるのか悩んでいる中、純は羨ましくなっていた。

「いいなー、空は。ピヨモンにすっごい懐かれてて。」
「僕たちも純に懐いてるでしょー?」
「んー、じゃあ、私に迷惑かけないように自分で歩いてくれる?」
「それは無理ー。純に甘えたいもーん!」

よく言うよ、と心の中で悪態をつきつつも、顔がニヤけるのがわかった。

森を抜けると、砂漠に出た。
砂漠に似合わない電柱が立っているが、今まで砂浜の電話ボックス、湖の路面電車を見てきたので、あまり驚くことはなかった。

「それにしても暑いですね…早く水を確保したほうがいいんじゃないですか?」
「ホントだよー。ロッテリア…暑いー!」
「純、モーマンタイ!」
「僕たち純のこと大好きなんだもーん。」

つまり、離れる気はない、と。
ピヨモンは空を気遣って、大人しくしようとしてるのに…!!
すぐに元に戻ったけど…
それでもその気遣いは羨ましい!
純はそう思わずにはいられなかった。

「あーっ!!村だ!!」

先頭を歩いていた太一が単眼鏡を覗き、叫んだ。
村がある、ということは人間がいるかもしれない。
子どもたちは村に向かって歩き出した。


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