「うわぁっ!」
「きゃっ!」
突然、目の前の焚き火から薪が弾けた。
驚いた純は思わず太一にしがみついた。
「あ、ご、ごめんっ!」
いち早く状況を理解した純が太一から手を離そうとした時、地面がグラグラと揺れ始め、手を離すどころかきつく抱きつく形になった。
突然の地震に驚き、寝ていた子どもたちも電車から飛び降りてきた。
目の前の湖は荒波立ち、渦を巻き、その中からドラゴンのようなデジモンが姿を現した。
テントモンによるとデジモンの名前はシードラモン。
「シードラモンは殺気を感じん限り、襲っては来いしまへんで!!あんさんら、なにかしよりましたんかいな!?」
「わ、私たちなにもして…」
ない、と言い切る前にテントモンが乗っていた、葉のようなものが動き始めた。
くしくもそれは、先程薪が飛んでいった先にあったものだ。
「あー、あの葉っぱみたいなやつはあいつの尻尾だったのか!」
「ギシャァァアアア!」
「シードラモンが、怒ってる…!!」
シードラモンによって、島はどんどん流され、岸から離れた場所に止まった。
これで逃げ場がなくなった。
一人だけ離れた場所にいたヤマトは迷わず湖へ飛び込んだ。
「エアーショット!」
「マジカルファイア!」
「ブレイジングアイス!」
デジモンたちはシードラモンに攻撃をするが、一向に倒れる気配はない。
太一がアグモンに進化するよう言うが、進化の仕方がわからず、アグモンのまま攻撃をするしかなかった。
「おーい、タケルー!」
「お兄ちゃん!…わーっ!」
ヤマトとガブモンが近くまで来たとき、タケルは湖に落下してしまった。
たまたまタケルの近くにいた、ゴマモンに助けられた。
その間にシードラモンはヤマト達に狙いを定めていた。
ヤマトはその状況を把握すると、ゴマモンにタケルを任せ、必死に離れた場所へと泳ぐのだった。
「プチファイアー!」
ガブモンはヤマトの援護をしようと攻撃するが、シードラモンの尻尾によって跳ね除けられてしまう。
「わッ!」
突然、ヤマトが湖の中へと消え、湖から出て来たときにはシードラモンに締め付けられていた。
「ヤマトー!」
「僕のせいだっ!僕を助けようとしてっ…」
「タケルくんのせいじゃないっ!早くなんとかしないと…」
「うわぁぁぁああ!」
シードラモンの締め付けは弱まることなく、ヤマトを苦しめ続ける。
「もうヤマトの吹く、あのハーモニカが聞けないなんて…あの優しい音色が聞けないなんて…」
「ガブモーン!」
「ヤマトーッ!」
突然、ヤマトの腰に付けていた機械が光り、その光は天まで伸び、天からの光がガブモンへと降り注いだ。
進化の光だ。
「ガブモン、進化!ガルルモン!」
そこに現れたのはオオカミのような姿をしたガルルモンであった。
prev next
bkm