夏色ドロップス | ナノ

act.01

電話ボックスを立てた人間を探すため、子どもたちはひたすら歩き続けていた。
にも関わらず、人間に関しての手がかりすら見当たらず、代わりに目にしたのは姿形の多様なデジモンのみだった。
肉体的にも精神的にも疲れが溜まり、純とミミはついに弱音を吐き出した。

「もう疲れたぁー。」
「私も…ロッテリア二匹は重すぎる…」
「二人とももう少し頑張れよ。テリアモンは俺が持つから。」
「わー!」

太一はそう言うと、純が抱えていたテリアモンを自分の頭の上に乗せた。
テリアモンはロップモンに比べて、人懐っこいのか、よく他の子どもたちの頭にも乗るようになっていた。
最近は太一がお気に入りなのか、太一の頭の上にいる事が多くなっていた。

「太一、ありがと。」
「おぅ。これくらい、気にすんな!」
「おー、いい眺めー。」

テリアモンは器用にも太一の頭上に立ち、辺りを見渡した。
純はその様子を見て、再び歩き出した。

しばらく歩き続けると、テントモンが見つけた湖までなんとか辿り着いた。
湖はとても大きく、湖の中心にある島には何故か路面電車が置かれていた。
その光景には違和感があったが、人間がいるかもしれないという淡い期待を胸に路面電車に向かって走り出した。
やはりというべきか、路面電車の中には誰もいなかったが、寝泊まりできる場所を見つけた子どもたちはほっと胸を撫で下ろした。


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