夏色ドロップス | ナノ

act.02

しばらく進むと海が見えた。
砂浜には不釣り合いな電話ボックスが並んでいた。
子どもたちは一目散に走り出したが、ただ一人純だけのんびりと歩いていた。

「純ー。みんな先にすすんでるよー?」
「純は走らなくていいのー?」
「ロップモンとテリアモンが降りてくれたら走りますー。」

純の頭の上にはテリアモン、腕にはロップモンがいるため、走るのは疲れると判断したのだった。
純が砂浜に着く頃には丈以外の子どもたちは砂浜で休んでいた。

「電話、繋がった?」
「全然ダメだ。デタラメな情報しか入ってこない。」

ヤマトの言うデタラメな情報がなにかは分からなかったが、深く追求することもないだろうと判断した。
どうやら、しばらくここで休憩することに決まったようだった。
ふとベルトを触るとなにか機械のようなものがあった。

「これって…」

周りを見渡すと、子どもたち全員がそれを持っていたようだったが、結局それが何であるかは分からず、話は食べ物のことへと移っていった。

「あたしが持ってるのは旅行用の救急セット。絆創膏と消毒薬、それに針と糸くらいよ。」
「僕はこのノートパソコンとデジカメ、携帯電話。でも、ここに来てからどれも使えなくなってるんです。まだバッテリー残ってたはずなのに…」
「俺はえーと…これだけ!単眼鏡!!」
「太一らしいね。私は飴とリップクリームとハンカチ…くらいかな。」
「俺も食べ物は持ってないな…」
「僕、持ってるよ!ほら!」

タケルのリュックの中にはギッシリとお菓子が詰まっていた。

「おいしそうねー。あなた、うちの子ども会の子じゃなかったわよねぇ?」
「夏休みだから、お兄ちゃんたちの所に遊びに来たんだ!」

この発言で太一と光子郎はヤマトとタケルの関係に疑問をもったが、話の骨を折るまいと自己完結させた。


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