飛ばされた先は辺り一面が霧に覆われていた。
「純、大丈夫?!」
「怪我してない?」
「う、うん…大丈夫…」
「本当に大丈夫?純…」
「うん、大丈夫だよ。」
突然、霧の中から攻撃がはなたれ、エンジェモンに当たった。
その衝撃でエンジェモンはパタモンへと退化してしまった。
現れたのは全身サイボーグのムゲンドラモン。
ムゲンドラモンもまた、究極体デジモンだった。
「グレイモン、超進化!メタルグレイモン!」
「ガルルモン、超進化!ワーガルルモン!」
「トゥルイエモン、超進化!アンティラモン!」
「ガルゴモン、超進化!ラピッドモン!」
「カブテリモン、超進化!アトラーカブテリモン!」
「バードラモン、超進化!ガルダモン!」
「トゲモン、超進化!リリモン!」
「イッカクモン、超進化!ズドモン!」
「テイルモン、超進化!エンジェウーモン!」
完全体へと進化した9体はムゲンドラモンへと向かっていく。
彼らでも敵わない。
なぜか純はそう思っていた。
純の思っていた通り、ムゲンドラモンから放たれる攻撃でパートナーたちは次々と倒されていく。
ムゲンドラモンの攻撃で地面に亀裂が入り、子どもたちはそのまま落ちていった。
どこまでも落ちていくかと思われたが、急に浮遊感が子どもたち襲い、目を開けてみると、子どもたちは薄暗い場所に浮かんでいた。
「なに、これ…」
「どうなってるの…?」
ふと下を見れば、ワーガルルモンとガルゴモンが、アンティラモンとラピッドモンが殴り合っていた。
「アンティラモン!ラピッドモン!」
「なにやってるんだ!」
「やめて!仲間同士なのよ!!」
「違う!僕たちはなにもしてない!」
「私たちの意志じゃない!」
「攻撃なんてしたくない!」
「体が勝手に動いてるんだ!」
それをキッカケに4体だけではなく、子どもたちの体も動き始めた。
その動きは普段の彼らがするような動きではなく、勝手に体が動いているようだ。
「みんな、なんで…」
その中でもなぜか純だけは無事だった。
純はアンティラモンたちの元へ駆け寄ると、腕や肩から伸びる細いものを見つけた。
「これって…糸?なんでこんなものが…」
「ふっふっふっふ。やーっと気付いたみたいだね。」
「誰?!」
「僕のことなら、得意なパソコンで調べればいいじゃないか。」
声の主が手を動かすと、光子郎の体が動き始め、カタカタとパソコンのキーボードが叩かれた。
声の主であり、子どもたちを操っていたデジモンの名前はピノッキモン。
彼もまた究極体デジモンだった。
「さぁ、ラストステージへ飛んで行け!」
ピノッキモンが手を上げると、糸の伸びていない純以外の子どもたちはどこかへと飛ばされていった。
「お前たちもとっとと行くんだ!ブリッドハンマー!」
「純!!」
純は退化してしまったロップモン、テリアモンに庇われながら、再び宙を舞った。
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bkm