暗闇を抜けたとき、子どもたちの目の前にはデジタルワールドが広がっていた。
安心したのも束の間。
空を見上げると、雲の代わりに北海道が浮かび上がっており、子どもたちは驚愕の声をあげた。
その時、突然草むらからなにかが飛び出し、パートナーたちは一斉に成長期へと進化した。
なにかへの攻撃を制したのは純とヒカリだった。
二人はゆっくりとなにかに近付き、話しかけた。
「怖くないよ。私たちは何もしない。」
「何もしないから、出ておいで。」
二人が優しく話しかけると草むらから、ピンク色のねずみの姿をしたデジモン、チューモンが姿を現した。
見覚えのある姿にミミとパルモンが駆け寄ると、チューモンはその場に倒れこんだ。
目を覚ましたチューモンに話を聞くと、子どもたちがいない間に様々なことが起きていた。
子どもたちがファイル島から去った後、デジモンたちは平和に暮らしていた。
しかし、ある日、突然異変が起こった。
大地が割れ、海は荒れ、暗黒の力が世界を覆い、暗黒の力が世界を支配しやすいよう、作りを変えたというのだ。
所々に過去の残骸は残っているものの、ほとんどが目の前に高くそびえる山、スパイラルマウンテンに組み込まれていた。
「スパイラル、マウンテン…」
「他のデジモンたちはどうなっちまったんだよ。レオモンとか…」
「わからない…でも、逆らうやつは全部倒すみたいなこと言ってたから…」
「誰がそんなこと…」
「ダ、ダークマスターズ…」
チューモンはそれだけ言うと、ブルブルと震えながらミミに抱きしめられていた。
そして、純もまた無意識に体が震わせていた。
「俺たちの闘う相手はそのダークマスターズってやつか。」
「た、戦う?!とんでもない!敵いっこない!」
「俺たちはあのヴァンデモンさえ倒したんだぜ?」
「大丈夫よ!選ばれし子どもたちが9人揃えば、世界は救えるんだから!」
太一に続き、ミミがそう答えたとき、辺りに不吉な笑い声が響いた。
「待っていたぞ。選ばれし子どもたち!」
目の前の地面からサイボーグ型のドラゴンのようなデジモンが姿を現した。
「メ、メタルシードラモンだ!!」
メタルシードラモンは空も飛べるようで、そのまま子どもたちに襲いかかる。
見た目に反して、動きは素早く、子どもたちは避けるのに精一杯だ。
「でかいくせになんてスピードだ!」
「いくぞ、アグモン!」
「よっしゃー!」
「ロップモン、テリアモンもいくよ!」
「「任せて!」」
それぞれのパートナーたちも成熟期へと進化し、メタルシードラモンへと向かっていく。
次々に必殺技を当てていくが、効果はなく、逆に体当たりを受け、倒されていった。
「なんで?10対1なのよ?」
「光子郎くん、メタルシードラモンの進化レベルって…」
「究極体です!いくら10対1でも成熟期では敵いません!」
子どもたちの会話をよそに、メタルシードラモンは確実に狙いを定めていた。
「アルティメットストリーム!」
メタルシードラモンの攻撃によって、子どもたちはパートナーに庇われながら、遠くへと飛ばされた。
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bkm