夏色ドロップス | ナノ

act.01

パートナーたちが進化できない今、とにかく休むことが先決と純たちは自宅へ戻っていた。
今日一日、動き回っていたこともあり、寝支度を済ますとロップモンとテリアモンと共に眠りについた。

「純、起きろ!」
「…あ、おじさん…?」

純が目を開けると、ヤマトの父親である裕明、その横にはヤマトとガブモンがいた。
親同士が昔からの知り合い、家も隣同士ということで合鍵をお互いに預けてはいるが、親が行き来することは滅多にない。
なにかあったのか。
純が彼らにそう問いかけるのは当然だった。

「理由は後だ!急いで服を着ろ!」

裕明の切羽詰まった声に純は急いで服を着替え、そのまま裕明に連れられ、アクアシティへと移動した。
そこは人気がなく、裕明曰く隠れるには最適な場所であった。

「どういうことか説明してくれよ!」
「俺にもわからん!が、とにかくお前たちはここに隠れてなさい。」

お台場全体を霧が覆い、外部との接触が一切できないのだとここに来るまでの車中で伝えられた。

「親父は?親父はどうするんだ?」
「局に戻る。なんとか外と連絡を取って、ここで起きていることを伝えたい。」
「…おじさん。お父さんとお母さん、は?」

裕明は純の質問に首を横に振って答えた。
純の両親は裕明と同じテレビ局で働いている。
だが、同じ会社でもフロアが違えば、出会うことは中々なく、現時点で純の両親の安否はわかっていなかった。
純は不安や悔しさを紛らわすように唇を噛み締め、ヤマトはそんな純を支えていた。

「ガブモンくんにロップモンくん、テリアモンくん、か。ヤマトと純を頼む。」
「わかりました!」
「ぼくたちがついてるから二人は安心だよ!」
「モーマンターイ!」

裕明は三体の姿を見つめると安心した表情を見せ、後ろ髪をひかれる思いで足を進めた。


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