夏色ドロップス | ナノ

act.05

デジモンたちはガブモン、ロップモン、テリアモン、パタモンの姿になり、道路に倒れこんだ。

「ガブモン…」
「ロッテリア、お疲れ様…」
「パタモン…今度は…」

前回、エンジェモンに進化した時にデジタマへと戻ってしまったため、タケルは泣きそうな顔でパタモンを抱き上げた。

「うん。大丈夫だよ、タケル。」
「怒って…ごめん…!!」
「泣くなよ、タケルー。」

純たちは再び歩き始めた。
歩いて行った先々にはパンプモン、ゴツモンとの思い出が溢れていた。

「帰ろう。」
「うん。」

重い空気のまま、三人は三軒茶屋へと足を向けるのだった。
しかし、地下鉄までの道のりも遠く、ロップモンとテリアモンを抱えていた純の歩くスピードはどんどん遅くなっていた。

「純、ロップモンかテリアモン、持とうか?」
「あ、うん。お願いしていい?」
「じゃあ、僕が乗るー!」

その言葉を聞いたテリアモンがピョーンとヤマトの頭へと乗り移った。
初めてのヤマト、ということもあり、テリアモンはヤマトの頭をポンポンと叩く。

「んー…太一の方がフカフカだねー。」
「太一はボリュームあるからな、髪の毛。」
「でも、気持ちいいんだよー?僕、太一好きー。」
「…犬は飼い主に似るっていうけど、デジモンはパートナーに似るんだな。」
「純ちゃん、太一さんのこと大好きだもんね!」
「うぇ?!そ、そんなことないよ!好きじゃない!好きじゃない!」

突然暴露されたその話を純は否定するが、顔を赤く染めて慌てる姿では否定とは受け取れなかった。
それでも、少しだけ明るくなったみんなの姿を見て、まぁ、いいか。と考え直すのだった。

はじまりの街の存在を聞いたのは、タケルの家に着く、ほんの少し前だった。


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