夏色ドロップス | ナノ

act.02

隠れていたパンプモンとゴツモンに話を聞くと、どうやらヴァンデモンの命令で九人目の子どもを探しに来たようだった。
でも、今まで闘ってきたデジモンのような危険性は感じない。

「渋谷の方が楽しくなっちゃって!」
「渋谷の方が楽しい?」
「なんなのそれ…」
「俺たちすっかり渋谷系デジモンになっちゃったー!!」
「君たち、一体なに考えてるのさー。」
「「なんにも考えてなーい!」」

ポーズを決めながら、ヴァンデモンの手下とは思えない発言をする二体に三人と三匹は顔を見合わせた。
しかし、ほんの一瞬目を離したすきに二体は純たちの前から姿を消した。
急いで追いかけると、信号機を揺すったり、お店のディスプレイにいたずらしたり、アイスクリームを盗んだり…
いつの間にかパンプモンたちと共に大人たちから逃げるはめになっていた。

「どうして私たちが逃げなきゃいけないのー!」
「そんなこと言ったってー!」

なんとか路地裏に逃げ込み、大人たちを撒いた時、空に雷雲が現れた。
あまりに突然すぎる雷雲がただの雷雲ではないと感じ取ることは容易で、デジモンたちはすぐさま身構える。
そして、目の前に雷が落ち、現れたのはやはり、ヴァンデモンだった。

「ヴァンデモン…!!」
「パンプモン…ゴツモン…」
「「は…はい!」」
「なぜ選ばれし子どもたちとアイスクリームを食べている?」
「「そ…それは…」」
「九人目の選ばれし子どもたちはどうした?」
「「まだ…見つかりません。」」
「ならば、どうしてその子どもたちから紋章を奪わん!」
「「今、奪おうと思ってたところです!」」

パンプモンとゴツモンは口を揃えて、そう言うと、ガブモンたちとにらみ合った。

「逃げるんだ!」
「純!早く!」

ガブモンとロップモン、テリアモンに押され、子どもたちは慌てて路地裏から抜け出した。

「急に襲ってくるなんて!」
「しょうがないさ!もともとヴァンデモンの手下なんだから!」
「でも…パンプモンたち、戦う気なさそうだよ?」

後ろを振り向いても、パンプモンたちからは本気で襲ってくる気配は見られない。
むしろ、追いかけっこをしているような雰囲気だった。

「逃がさないよー!」

しかし、挟み撃ちにされ、ジワジワと空き地に追い込まれていく。
闘うしかない。
全員がそう思った時、

「やーめた。」
「俺もー。」

一気に気の抜けた声が聞こえてきた。


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