夏色ドロップス | ナノ

act.01

デスメラモンと戦った日の夜、子どもたちはそれぞれ自宅へと向かっていたが、純とヤマトはタケルを母親の元まで送り届けるため、渋谷方面へと向かう地下鉄の中にいた。
ヤマトとタケルの両親は四年前に離婚しているため、実の兄弟であるにも関わらず、別々の家へと帰らなければいけない。
そのため、純たちにはどこか重たい空気が流れていた。
デジモンたちはといえば、網棚の上からその様子を見ていた。

時刻は既に午後7時を回っている。

「もうこんな時間だ…お兄ちゃん、純ちゃん。次の駅でいいよ。」
「いや…やっぱり三軒茶屋まで送るよ。」
「私たちのことは気にしなくていいから、ね?」
「いいよ。」
「…タケル、送らせろよ。」
「わかった。」
「別れるのが辛いの?」

様子を見ていたパタモンが放った一言。
それはタケルにとって触れられたくない部分であり、カッとなったタケルはパタモンをきつく叱りつけた。
タイミングがいいのか悪いのか、電車は渋谷駅で止まり、パタモンは電車を降りていった。
もちろん、純たちも渋谷駅で降り、パタモンを探し始めた。

「パタモン、どこにいるんだろう…」
「タケルが叱ったからだよ。」
「しょうがないよ!」
「タケルくん、ヤマトに当たっちゃダメだよ?ね?」
「純ちゃん…お兄ちゃん、ごめん…」
「パタモンにも言い過ぎだぞ?」
「つい…本当のことを言われて…」

その言葉を聞いて、純とヤマトはタケルに微笑みかけた。

「気持ちは分かるけどな。」
「うん、私も。あっちの方探してみようか?」
「うん!」

純たちはパタモンを探し始めた。
少し進んだところで、前から見たことのないデジモン二体が純たちの方へと向かってくるのが目に入った。
ツノモンはガブモンへと進化し、ロップモン、テリアモンと共に身構えた。
しかし、走ってきた二体のデジモン、パンプモンとゴツモンはガブモンたちを攻撃するどころか、ガブモンたちを連れて、路地裏に入っていく。
そして、後ろから走ってきたのはガングロギャル。

「欽ちゃんの仮装大賞、どこ行ったー!」
「向こうへ行きました。」

ヤマトが呆れながら答えると、ギャルはお礼を言い、そのままどこかへと走り去っていった。


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