夏色ドロップス | ナノ

act.02

九人目の選ばれし子どもは四年前のあの事件を目撃していて、なおかつ、昨日芝浦付近にいた子ども。
この日は芝浦付近を探すことで全員が合意した。

「で、これはどうするの?」

ミミが掲げたのは若葉幼稚園と書かれている名簿。
名簿には当時光が丘に住んでいた子どもの名前が載っており、その中に九人目の子どもたちがいる可能性が高いのだ。
なので、片っ端から電話をかけ、芝浦へ行った子どもがいないかを確認しようというのだった。
とはいえ、子どもたちは芝浦へ九人目の子どもを探しに行かなければならない。

「僕は明日から夏期講習なんだ。電話の方はちゃんとやっておくから、芝浦まで行くのは遠慮させてくれ。」

芝浦には行かない。
丈のこの言葉がキッカケで子どもたちは一斉に名簿を丈へと渡した。

「第四小学校の名簿だ。頼んだぜ!」
「私とヤマトは同じ学校だったんで、お願いしまーす!」
「ま、まさか、太一!キミもっ?!」
「安心しなって。俺は仕事を人に押し付けるようなことはしない。」

太一の発言に丈は涙を流して感動していたが、純は心の中で見つからなかっただけなのに、と呟いた。
丈以外の子どもたちはゆりかもめで移動をしていた。
車内から見えるのは昨夜の闘いの跡。
昨夜、光子郎がレアモンと闘った、という場所は悲惨な姿となっていた。

「じゃあ、大体の受け持ち地区はここでいいですね。」
「あぁ。」
「ちょっと待ってー!なんで、私は空とミミちゃんと一緒じゃないの?私も女の子なのにー!」
「だって…」

そういう空の視線の先にはテリアモンの姿。
いる場所は、定位置となりつつある太一の肩の上。

「純、モーマンターイ!」
「大丈夫、大丈夫。俺らがいるんだから!」
「そうだよね。光子郎くんが一緒だもんね。」
「おい、純!それ、どういう意味だよ。」
「太一も純も落ち着いて。じゃあ、出発しましょ。」

空の掛け声で純は太一、光子郎と共に街中を探し始めた。


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