夏色ドロップス | ナノ

act.03

「ミミくんだ!」

丈がそう言うと、太一を先頭にみんなが声のする方向へ走り出す。
その目の前をミミがデジモンと共に横切っていった。
すると、ブゥウウウウーンという轟音が上から聞こえてくる。
姿は見えないが、何かに追われているに違いない。

「とにかく助けなきゃ!」

自慢の俊足でミミの後を追いかける太一。
その後に続くようにして、他の子どもたちも追いかける。

「きゃぁああああ!」

ミミの姿が見えたかと思うとUターンして、こちらに向かってきていた。
その時、ミミを追いかけていた何かの姿を見た。
真っ赤な体をした、巨大なクワガタ。

「クワガタ怪獣だ!」
「ちゃう!クワガーモンや!」

みんな、ミミと一緒になって逃げていく。
クワガーモンに何度も何度も襲われそうになったが、その度に地面に伏せ、草むらに飛び込み、なんとか攻撃を避けていた。

「しまった!」

先頭を走っていた太一が急に足を止めた。
目の前に広がるのは断崖絶壁。
そーっと下を覗いて見るが、遥か下の方に川が流れているだけで、とても降りられそうにはなかった。

「くるー!」

トコモンがそう叫んだ。
それまで子どもたちにべったりだったデジモンたちが来た道を引き返し始めた。

「チョコモン、グミモン!どこに行くの?!」
「「どこにも行かない!純たちは僕たちが守る!」」

チョコモンとグミモン、そして、ほかのデジモンたちはクワガーモンを睨みつけた。
受けて立つ、そう意気込んで。

「やめてー!」

体格差のありすぎるクワガーモンに彼らが束になっても敵うはずがない。
彼らの泡のような攻撃により、一瞬ふらついたクワガーモンだったが、すぐに立ち直り、デジモンたちに攻撃を仕掛けた。

「どうして!どうして、私たちのためにそんなに必死に…!」

クワガーモンの攻撃により、木や地面に強く打ち付けられた彼ら。
体制をすぐに整え、またクワガーモンへと挑んでいく。
それはパートナーを守る、その一心だった。
守るために強くなりたい。
パートナーのために強くなりたい。

「コロモーン!」
「ツノモーン!」
「ピョコモーン!」
「チョコモーン!グミモーン!」
「モチモーン!」
「タネモーン!」
「トコモーン!」
「プ、プカモーン!」

声を大にして叫んだ、その時。
天から九つの光が降り注ぎ、デジモンたちを包んだ。


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