夏色ドロップス | ナノ

act.04

太一は一人道路へ。
他の子どもたちは歩道の植木の影に隠れ、太一の行動を見届けている。

「おーい!だーれか乗せてくれぃ!」

太一の考え、それはヒッチハイク。
とはいえ、簡単に車が捕まるはずもなく、何台もの車が太一の前をビュンビュンと通り過ぎていっていく。

「おいおい、いまどきヒッチハイクかよ…」
「あんなので止まるはずないよね…」

太一の目の前をクラクションを鳴らした車が通り過ぎた。

「危ねぇだろ、バカヤロー!」
「どっちがだよ。」
「太一じゃ三日ぐらいかかるかもな…」
「三日じゃ早い方だよ、きっと。」
「だったら、お前らがやってみろよ!」

突然、矢面に立たされた光子郎と丈がヒッチハイクを始めた。

「「い…い、イエーイ…」」

光子郎と丈の前に止まったのは一台のタクシー。
もちろん、一銭も持っていない子どもたちが乗れるはずもなく、他の子どもたちに笑われてしまうのだった。

次に行かされたのはヤマトと純。
ツノモンとロップモンとテリアモンを太一たちに任せ、道路へと出る。
二人でアイコンタクトを取り、同時に手をあげると、一台のスポーツカーが止まった。

「「やった!」」

そう思ったのも束の間。
中は見るからに悪目立ちしそうな男女の姿。

「ハーイ。いらっしゃい。」
「俺たちと楽しいドライブでもするか?」
「「…ごめんなさい。」」

二人は丁重にお断りした。

「なーんで断っちゃうんだよ!」
「「あんな車じゃ全員乗れないだろ(でしょ)!!」」

そして、次は空とミミと純の女の子三人。
純は二回もするなんて、嫌だ…と言っていたが、空とミミの勢いに負け、やらざるを得なくなったのだ。
三人の手には今までと違い、手には“お台場につれてって”と書かれた段ボール。

「今度こそ大丈夫だろう。」
「やっぱり女の子ですからね。」
「そういうもんなの?太一ぃ。」
「まぁな。俺は純だったら、乗せてやるかなっ!」

太一が無意識で好きな子を暴露(とは言っても元からバレバレなのだが)をしたのを尻目に、女の子作戦が功を奏し、一台の車が止まった。
ファミリーカーとまではいかないが、そこそこ大きく、サイズも問題ない。
純たちが事情を話すと、運転手は快く了承してくれた。


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