夏色ドロップス | ナノ

act.03

「ねぇ、太一ぃ。お腹すいたぁ…」
「俺もぉー。」
「僕もぺこぺこー。」
「我慢しろよ。俺だって腹減ってんだから…」
「おうちに帰ったら、なにか作ってあげるから…」
「私…ハンバーガー食べたい…」

ミミの発言により、太一、ヤマト、純、空、タケルが歩くのを止めた。
デジタルワールドに行っていた子どもたちにとって、ハンバーガーなんて夢のまた夢の食べ物だったのだ。

「ハンバーガー、かぁ…」
「なんか随分食べてない気がするな…」
「確かに、久しぶりのハンバーガー、食べたい…」

ミミがニコリと微笑んだ瞬間、足を止めていた六人はくるりと方向転換し、ハンバーガーショップへと向かった。

「ねぇ、今更だけど、光子郎くんたち放っといてよかったの?」
「ま、そのうちデジヴァイス見て、飛んでくるだろ!」
「太一ぃ、そっちもちょーだいっ!」
「純もー!」
「純たちはずるいよね。こんなおいしいものを毎日食べてたなんてさ!」

そんな会話を繰り広げているうちに丈と光子郎が太一たちのいるテーブルに向かってきた。
太一はほら、見たか!と言わんばかりの顔を純に向けた。

「おぅ!お前たちもなんか食えよ!うめぇぞ!」
「君たち、もしかして電車賃で…」
「うん!全部使っちゃった!」
「ごめーん。どうしてもハンバーガーの誘惑に勝てなかったのよ。」

しっかり者の空の発言と自身も空腹だったことにより、丈のなにかが切れた。

「食べてやる!有り金全部食べてやるー!」

そんな捨て台詞を残し、レジへと向かうのだった。


「それより、ここからどうやってお台場に行くの?」
「そうだね…もうお金なくて電車乗れないもんね。」
「どうやってタダでお台場まで帰るか…」
「へへ…そのことなら、俺に任せろって!ちゃーんと考えてあるさ!」

子どもたちは半信半疑ではあったが、太一に付いて行った。


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