夏色ドロップス | ナノ

act.01

「光が丘にいないなら、急いで他を探そうぜ。」

光が丘を十二分に探したものの、九人目の子どもは見当たらず、子どもたちは次の場所へポイントを移そうとしていた。

「僕たちのもうひとつの共通点。」
「光が丘からお台場に引っ越したってことだよね?」
「はい。その可能性は高いと言えます。」
「よし、とにかくお台場に帰ろう!」

子どもたちはお台場を目指し、地下鉄に乗るため、地下へと進んだ。
光子郎がお台場への最短ルートを検索すると、光が丘から都営十二号線で中野坂上まで行き、丸ノ内線と銀座線を乗り継いで新橋に出て、ゆりかもめでお台場へという検索結果が出た。
子どもたちは中野坂上までの切符を買い、地下鉄に乗り込んだ。
現実世界に戻ってきてから、ほとんど歩きっぱなしだった子どもたちはへとへとに疲れており、電車に乗り込むと、すぐ席についた。
もちろん、電車内ではデジモンたちはぬいぐるみのフリ。

「あの、よかったら…」
「お父さんもよければ。」
「あ…ごめんなさい。」

純たちの後から、赤ちゃん連れの家族が乗ってきたため、純と空はその家族に席を譲った。
純の腕の中にはロップモンとテリアモンの二匹がおり、少しばかり大変ではあったが、いいことをしたという実感があるためか、清々しい気持ちでいっぱいだった。
しかし、席を替わったのが悪かったのか、ロップモンとテリアモン、ピョコモンはちょうど赤ちゃんの目の前に来ることになったのだ。
もちろん、赤ちゃんはデジモンたちに興味津々でピョコモンの触覚とロップモンとテリアモンの耳を思い切り引っ張ってしまった。

「あ、あの…」
「あら、ごめんなさい。こーらっ。」

お母さんが赤ちゃんの手からロップモンたちを離そうとするが、赤ちゃんが握る力は強くなるばかりだ。
純と空もパートナーたちを必死に引っ張るが、それでも赤ちゃんは手を離さない。


prev next

bkm
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -