あの時見たのは…
あの時守ってくれていたのは…
怪獣なんかじゃない。
「助けてくれたのはオレンジ色の恐竜…」
「そうだ、グレイモンだ!」
子どもたちはあの時のことを思い出した。
あの爆弾テロの日、太一の家にコロモンが来て、コロモンはアグモンに進化した。
そして、グレイモンになって、もう一匹のデジモンと闘ったのだ。
「そうだ!間違いない!」
太一たちが思い出したと同時にガルダモンはシャドーウイングを放ち、マンモンは姿を消した。
「闘いのあと、二体はどこかへ消えていった…」
「それで爆弾テロってことになったのか…」
「ヒカリのやつ、コロモンのこと知ってるわけだよ。チョコモンたちのことは知らなかったのにさ。あの時、会ってたんだよ!」
「きっと、別のコロモンだよ!…でも、最初に太一に会った時、とっても懐かしい気がしたんだ。」
「それは僕たちも!」
「純にまた会えた、ってそんな気がしたんだ!」
「…グレイモンの闘いだけじゃない。他にも…なにかあった気がする…」
純の呟きは遠くから聞こえてきたパトカーや消防車のサイレンの音で掻き消された。
事情聴取されることになれば、すぐには解放してもらえなくなる。
子どもたちは一目散にその場を後にし、着いた先は広場のような場所だった。
「前々から不思議に思ってたんです。キャンプにあれだけの子どもが来てたのに、どうして僕たちだけが選ばれたんだろう、って…でも、今日謎を解く手がかりがやっと掴めました。」
「四年前の事件…」
「えぇ。僕たちには四年前、既にデジモンと会っていたという共通点があるんです。」
「それじゃあ、九人目の子どもも!」
「間違いなく、あの事件の目撃者のはずです!」
「じゃあ、もうヴァンデモンが捕まえちゃったんじゃないの?事件を見てたんなら、光が丘の子だろ?」
丈の考えはモチモンによってあっさり否定された。
マンモンが光が丘団地を一匹で移動していたということは、その間にほかのデジモンたちで九人目の子どもたちを探しているということ。
「見つけるんだ、あいつらより早く!九人目の選ばれし子どもを!」
「私たちの、仲間を!」
純だけは忘れているなにか、を必死に思い出そうとしていた。
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bkm