夏色ドロップス | ナノ

act.01

パートナーたちも無事に現実世界へと来れてきたことに安堵したのも束の間。
子どもたちは九人目の子どもを見つけるための手段を考えていた。
時間の流れが違うため、ヴァンデモンたちが現実世界に来てから、そんなに時間は経っていない。

「問題はどうやって光が丘に行くかだ。ここからだと結構距離あるぞ。」
「でも、本当に今日はあのキャンプの日なのか?何ヶ月も向こうの世界にいたのに…」

根本的な部分を丈が問うと、子どもたちに一気に不安が押し寄せた。
いくら太一と純が戻った日が8月1日だったと言われても、自分自身が見たり聞いたりしたわけではない。
簡単に信じることはできなかった。

「キャンプ場の方見てこよっか?」
「そうだな。まだそんなに時間は経ってないはずなんだ!」

太一と純はそう言うと、キャンプ場の方へと足を向けた。
階段を降り切ったとき、上からコロモンとロップモン、テリアモンがそれぞれ太一と純にダイブした。
その後ろには他の子どもたちとパートナーの姿。

「みんなで来ることないだろー!」
「だって、僕は班長として…」
「やっぱり気になりますから。僕らがいない間にどうなっているのか…」

みんなの意見はもっともではあるが、他の子どもたちや先生たちにデジモンの存在を教えるわけにもいかない。
太一が必死に説得していると、突然、太一と純を呼ぶ声がした。
振り向けば、必死にこちらへと向かってくる男性の姿があった。

「「先生!」」

そこに現れたのは子どもたちの引率として来ていた藤山先生であった。
太一と純は先生の姿を見つけると、一目散に駆け出した。
しかし、その直後、響き渡ったのはバカモーン!という藤山先生の怒鳴り声だった。

「後片付けもせんでこんなところで何ブラブラしている!」
「そ、それは…」
「後片付けってなにー?」

藤山先生の問いに答えてしまったテリアモンの口を純は慌てて押さえた。

「この雪でキャンプは中止と決まっただろ。他のみんなは帰り支度を始めてるぞ?」
「そ、そうでしたー!」

子どもたちはデジモンたちをぬいぐるみだと言い張り、急いで帰り支度をするとバスへ向かった。


prev next

bkm
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -