中に入れば、一人の老人が小さな橋の上に立っていた。
「ゲンナイ…さん?」
「よく来たな、子どもたち。」
「おい、ジジイ!お前に聞きたいことがある!」
「なんじゃ?」
「今までどうして直接出てこなかったんだよ!」
「出不精でな。」
「人間?それともデジモンなの?」
「どちらでもない。」
「選ばれし子どもたちってなに?!」
「この世界とお前たちの世界を救うために選ばれた子どもたちのことじゃ。」
そう言われても純たちにはいまいちピンとこない。
「私たちを選んだのは誰?ゲンナイさん?」
ゲンナイは首を横に振った。
「前にも聞いたけど、私だけパートナーが二匹いるのはどうして?」
「それはお主の紋章、絆の紋章が関係しておる。」
「絆の紋章…」
ゲンナイはそれだけ告げると、質問を切り上げ、子どもたちを家の中へと案内した。
家の中も外見を同じように和風な作りで、子どもたちがリラックスするにはもってこいであった。
ゲンナイはそんな子どもたちを見ながら、世界地図を出した。
そこに表示されたのはヴァンデモンがいると思われる場所、日本の、東京の、練馬区であった。
練馬区から更に拡大されて表示された場所。
「「「あ!」」」
その場所を見た太一、ヤマト、純は同時に声をあげた。
「なんだよ?」
「いや…大したことじゃない…お前は?」
「いや…俺も…ただ…光が丘だなぁって…純は?」
「私もそう思っただけ…」
他の子どもたちも関わりがあるのか、光が丘と聞いて、驚いていた。
「さぁ!そろそろゲートを開ける方法を教えてくれ!」
「せっかちじゃのぅ。」
ゲンナイは大きな棚からデジモンのイラストの描かれた十枚のカードを取り出した。
「あ、おいらのがある!」
「あ、アグモンも!」
「僕たちのはないのぉー?」
「あるのはそれだけじゃ。ゲートの石板に九つの穴があったじゃろ。」
「はい。ありました。」
「その穴にこのカードをはめ込むんじゃ。」
だが、石板の数は九つなのに対し、カードは十枚。
一枚余ってしまう。
「よく分からんのが一枚混じっておる。」
「どの穴にはめ込むんだ?」
「それも…わからん。」
やっぱりか、と子どもたちはため息をついた。
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