ヴァンデモンの城には簡単に侵入できないため、アグモンとパルモンが先にヴァンデモンの城の中へ忍び込み、子どもたちを後から侵入させる作戦になった。
しかし、いくら時間が経ってもアグモンとパルモンは子どもたちに合図を送ってこない。
アグモンとパルモンは兵隊志望として忍び込んだため、ひたすら筋トレをさせられていた。
そのため、アグモンたちから合図があったのは、大分時間が経ってからだった。
「待たせちゃってごめん!」
パルモンの伸ばしたツタで子どもたちも城内へと侵入した。
外観から城内の広さは分かっていたため、子どもたちは手分けして現実世界へのゲートを探すことにした。
「太一、ここどこ?」
「道に迷ったのかなぁ…」
「さっきもここ、通ったよね?」
純は太一と共に行動していたが、部屋らしきものはどこにも見当たらない。
まっすぐ進んでいたはずなのに、同じところを再び通るはめになっていた。
「あ、太一さん。純さん!」
「お、光子郎か!お前たち、下を探してたのか?」
「おかしなこと言いはる。あんさんらがうちらの下におるんやおまへんか。」
「違うよ、そっちが下だよ。」
「…なんだか鏡見てるみたーい!」
いつの間にか進化していたテリアモンが耳で飛び、離れた位置で太一と純、そして光子郎を見ると、重力が関係ないかのような画が飛び込んで来た。
お互いが間違いなく、橋の上に立っている。
だが、太一と純から見れば、光子郎が、光子郎から見れば、太一と純が下から上を覗き込んでいるように見える。
つまり、お互いが逆さまに立っているのだ。
「どうなってんだ?」
「とりあえず、一度みんなで集まった方がいいんじゃない?」
「そうですね。バラバラに動くより、一緒に動いた方が得策です。」
このおかしな空間を把握するため、子どもたちは再び集まった。
「ここ、かなり変ですよ。空間が歪んでねじ曲がっています。」
「この世界が変なのは今に始まったことじゃないだろ。」
「それにしても、ここは特別変だ。ヴァンデモンの力が強いせいかな。」
「私たち、そんな奴と戦わなきゃいけないの…?」
ふいにゴマモンが鋭い目をした。
「誰か来る。」
そう呟いた直後に目に入ったのはデジモンらしき姿の影。
一体や二体ではない。
日本へ向けて出発するのだと分かり、子どもたちは後をつけることにした。
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bkm