周りの景色が元々いた森に変わった。
「お前のことなど考えていない家族との間に絆などあるものか。」
「そ、んな…」
「絆を失ったお前にその紋章は似合わない。さぁ、私に渡してもらおう。」
「そんなこと、僕たちがさせない!」
「ロップモン、進化!トゥルイエモン!」
「テリアモン、進化!ガルゴモン!」
トゥルイエモンとガルゴモンはカラテンモンに向かっていくが、攻撃は一発も当たらなかった。
「お前たちの攻撃は当たらない。どんな攻撃をしようとしているかなど、すべてお見通しだ。」
カラテンモンはトゥルイエモンとガルゴモンに剣を向けたかと思うと二体を弾き飛ばした。
「さぁ、紋章を渡してもらおうか。なにを迷っているのだ。お前にその紋章など必要ない。」
カラテンモンは一歩、また一歩、と純に近付いていく。
「絆は消えたりなんかしないんだ!」
「その紋章は純のものだ!」
その言葉で純の頭に浮かんできたのは、昔見せてもらったビデオの映像だった。
「純は本当に可愛いわねー。」
「あぁ。俺たちの子なんだ。これからたくさん思い出、作らないとな!」
「ふふ。そうね。この子にはうんと幸せになってもらわなきゃ!」
そう言って、私を大事そうに抱きしめてくれたお父さんとお母さん。
間違いなく、私は愛されてる。
「お父さんもお母さんも私のことをいつも考えてくれてた。みんなだって。…渡さない。アンタなんかにこの紋章は絶対渡さない!」
純の心の迷いはなくなった。
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bkm