夏色ドロップス | ナノ

act.02

「私は悟りを習得しているのだ。お前の考えてることなど手に取るように分かる。」
「絆の紋章ってどういう、こと?」
「紋章にはそれぞれ意味があるのだ。勇気、友情、愛情、知識、純情、誠実、希望、そして絆。…ほぅ、察しがいいな。それぞれの紋章の持ち主が分かっているようだ。」

どうやら、純の頭に浮かんでいる勇気=太一、友情=ヤマト、愛情=空、知識=光子郎、純真=ミミ、誠実=丈、希望=タケルという方程式は当たっているらしい。
そして、残る絆が純自身であった。

「しかし、お前にその紋章を持つ資格はない。」
「っ…!」
「お前は絆など持ち合わせていないのだからな。」

そう言われ、純は言い返せなかった。
自分の紋章が絆だと感じたのは、自分自身に絆の力を感じたわけではなく、他の子どもたちに紋章を当てはめた時に余ったのが絆だっただけなのだ。

私には絆がない…?

突然、辺りが暗くなり、周りの景色が変わり、森が消え、純は自身の家にいた。
これもカラテンモンの術なんだろうか。
純は意外にも冷静だった。


家の中に現れたのは純と純の両親。
純の嫌な思い出のひとつ。

「お母さんもお父さんもなんで、なんで一緒にいてくれないの?!」
「純、ごめんね。お父さんもお母さんもお仕事なの。」
「どうして?!他の子は家族でいっぱいお出掛けしてるのに!!」
「ごめん、ごめんね。純。いってきます。」

そうして、扉は閉められた。
部屋の中に残された純は涙を流し

「お父さんとお母さんなんて大っ嫌い…」

そう呟いた。


prev next

bkm
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -