夏色ドロップス | ナノ

act.03

「うわぁあああぁ!!」

叫び声のした方を見ると、タケルを助けようとしていた丈がベジーモンのつたを巻きつけられていた。

「丈先輩!!」
「今まで…ヤマトが…一緒に頑張ろうって…言ってくれたから…僕は、我慢できたんだ…だから、今度は僕が…!!」
「ヤマト!丈先輩の気持ち、わかるでしょ?!これでまだあんなこと言うなんて私は許さない!」

ヤマトは握り拳を作り、動こうとしなかった。
今までのことを思い返していたのだ。

「俺は…あんなひどいことをしたのに…!!」
「間違ってたんなら、謝ればいいじゃん!仲間なんだから!」
「そうだ…俺はもう忘れない…忘れてはいけないんだ。仲間を…友を信じる気持ち…友情を!」

ヤマトの紋章とデジヴァイスが輝き始めた。
ガルルモンが光に包まれる。

「ガルルモン、超進化!ワーガルルモン!」

光が消え、現れたのはガルルモンの面影を残した、人型のデジモンだった。

「あれが…ワーガルルモン!」

ワーガルルモンはデジタマモンの攻撃に立ち向かっていく。

「カイザーネイル!」

攻撃から逃げることはせず、そのままデジタマモンの攻撃を跳ね返すと、そのまま自らの攻撃でどこかへ飛ばしていった。

「ベジーモン!次はあなたよ!丈先輩を離しなさい!」

ベジーモンの前にはワーガルルモン、イッカクモン、トゥルイエモンが構えており、ベジーモンは丈を離すとそのまま逃げていった。


「ヤマト、さっきは叩いてごめんね?…痛かったよね?」
「あ、いや…俺も…俺、純のこともタケルと同じくらい大事だって思ってるから…」
「じゃ、これで仲直り、ね!ヤマトも丈先輩に言わなきゃいけないこと、あるでしょ?」

純はそう言うと、グイグイとヤマトの背中を押し、丈の前に立たせた。

「丈…ありがとうな。タケルを助けてくれて…」
「いや、いいんだよ。僕の方こそいつも助けてもらってるんだから…」
「それと…ぁ…あ…」

純はヤマトの隣に立つと、トン、と背中を叩いた。
ヤマトと純の勇気を分け合う時のおまじない。

「…ごめんな。」
「ヤマト…ははっ。」
「照れ屋なヤマトくんの割にはよくできましたっ!」
「バカにすんじゃねぇよ、純!」

みんなで歩いていると、再びデジヴァイスが反応を示した。
次の仲間が見つかるまで、あともう少しのようだ。

「あ、太一!」
「ん?」
「私、ああ見えて、友情に熱いヤマトは好きだけど、恋愛感情じゃないからね!」
「っ!!わかってるよ!!」

純の思いがけない報告に太一は顔を赤くするのだった。


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bkm
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