「…みんな、僕のこと置いていったんだ。最初は空さん。それから、それから…最後はお兄ちゃんまで!」
「何かワケがあったんだよ。」
「違う!みんな僕が嫌いなんだ!すぐ泣くから…子どもだから…!」
「ピコデビモンてやつがなんて言ったか知らないけど、ヤマトがお前を嫌うはずないじゃないか。」
「そうだよ。ヤマトがタケルくんのこと悪く言うはずない。私の知ってるヤマトはそんなこと言わない。」
しかし、タケルは納得言ってないようで、まだゴネていた。
「でも、お兄ちゃん、僕と太一さんが仲良くしてたら、傍で嫌な顔してた。それに、太一さんたちを探しに行こうって言ったら、反対した。僕が太一さんのことばかり言うんで嫌いになったんだ!ねぇ、太一さん、僕を太一さんの弟にして!」
「いや、ちょ…それはちょっと…」
純はそのやり取りをヤマトが見たら、ショックで立ち直れないだろうな、と呑気に考えていた。
とにかくヤマトを探そうと決めたとき、タイミングがいいのか悪いのか、ピコデビモンが戻ってきた。
ピコデビモンの足元にはカゴいっぱいの不思議なキノコがあった。
「ねぇ、ピコデビモン。あなたに聞きたいことがあるの。」
「な、なんですか。あなたたちは。」
「俺は太一、こいつはアグモン。」
「私は純、この子たちはロップモンとテリアモン。」
「ヤマトがなんて言ったって?」
「ヤマトはですねー、もうタケルと一緒にいたくないってそう言ってました。僕もね、兄弟だからそれはないだろうって言ったんですけど…」
「ねぇ、ピコデビモン。ヤマトのところに案内してよ。ヤマトがそんなこと言ったなんて、私には信じられない。」
そう言うと、ピコデビモンは快く承諾してくれた。
しかし、遠いから先に腹ごしらえを、と先ほど抱えていたキノコを差し出した。
七輪を用意し、味付けもしっかりとしたため、漂ってくる匂いは子どもたちの嗅覚をこれでもか、と刺激した。
「いただきまー…「待ってー!」
子どもたちがキノコを口に運ぼうとしたとき、ロップモンがそれを止めた。
「テリアモン!これ、あれだよ!」
「あれってー?」
「アスタモンに教えてもらったキノコ!」
「太一ぃーっ!純ー!食べちゃダメー!」
そこにトイレに行っていたアグモンが慌てて戻ってきた。
そして、太一たちが手にしていたキノコを奪うとアグモンはピコデビモンに差し出した。
「お前が食え、ピコデビモン!」
「食べられるはずないけどねー。」
「これを食べたら記憶がなくなっちゃうんだもんねー?」
太一、純、タケル、トコモンも共にピコデビモンを問いただすと、ピコデビモンはヤマトのことも含め、あっさり嘘だと認めた。
「ひどい…ひどいよ!トコモン、ごめんね。僕…キミのこと…」
「分かってる…気にしないで!」
タケルとトコモンは抱き合い、仲直りした。
それを見た太一がタケルにデジヴァイスと紋章を渡すと、紋章に光が戻った。
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