突然、家中の電気が消え、デジヴァイスが光を放ち始めた。
その直後、パソコンには光子郎の姿が映し出された。
「た…いち…さん…純…さん…」
光子郎の姿を確認した二人は一目散にパソコンの前へ駆け出して行った。
「俺だ、俺だよ!太一だよ!」
「私も一緒にいるよ!」
心なしか焦点が定まっていない光子郎はそのまま質問を続ける。
「太一さんたちは今どこに…」
「うちだよ、うちにいるよ!元の世界に戻ったんだ!コロモンたちも一緒だよ!」
「じゃあ、ここには…戻ってこないで…ください。」
光子郎がそれだけ言うと、通信は途切れ、デジヴァイスの反応もなくなった。
「なにが起こってるんだ。向こうでもこっちでも…」
「光子郎くん、様子が変だった…」
「なぁ、純。これってどっちも夢なんかじゃない。どっちも本当だったんだ。なぁ、そうだよな?」
「うん。私はそうだと思う。」
「なぁ、俺だけここでこうしてていいのかな?」
その質問に誰も答えなかった。
デジモンたちはもちろん、純も戻れるならば戻りたかったが、戻り方が分からず、戻りたくても戻れないのだ。
そして、デジモンたちの存在を知りつつ、一人でこっちの世界に留まっているヒカリ。
悲しそうな目でデジモンたちを見つめるヒカリを兄である太一が放っておくとは思えなかった。
「なぁ、コロモン。お前もこのままずっとここに…」
「太一…?」
「うちにいれば、もう闘ったりしなくていい。ごはんだってお菓子だって好きなだけ…」
「太一…それ、本気?」
そう言う純の声は低かった。
妹であるヒカリのことが気にかかるのは分かる。
しかし、様子がおかしかった光子郎を見た上でここに残る判断を下した太一が許せなかったのだ。
純の冷たい口調から太一、ヒカリにもそれは伝わった。
「…ごめん。頭冷やして来る。ヒカリちゃん、チョコモンたちとまた遊んであげてね。」
純はチョコモンとグミモンを抱えると、外へと飛び出した。
行くべき場所は分からないが、とりあえず、外に。
そう思って、マンションの外へと出た時だった。
突然、地面がグラグラと揺れ始めた。
「きゃっ、なにっ?!地震?!」
純はチョコモンとグミモンをしっかり捕まえ、揺れが収まるのを待った。
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